話の肖像画

歌舞伎俳優・中村鴈治郎(62)(13) 「上方文化」見つめる四代目

「連獅子」は昔、天王寺屋のおにいさん(五代目中村富十郎(とみじゅうろう))の親獅子で仔獅子を踊らせていただいたことがあったので、若い頃から父とも踊りたいと思って、「一緒にやりましょうよ」と言い続けていました。でも父はなぜか私とはやろうとしませんでした。

それなのに、平成15年に孫の壱太郎が仔獅子をやることが決まると、自分が親獅子をやる、と言い出したんです。やっぱり孫はかわいいんですね。地方公演のときだけ、壱太郎は学校があって出演できないので、私が代役を勤めました。そうなったらもう、うれしいとか、どうでもよくなりましたね(笑)。

それで、壱太郎がきちんと獅子の毛を振れるように成長したら一緒に踊ろうと決めていたんです。襲名の前にも二人で踊っていますが、自分のなかでは印象深い演目です。

《襲名発表の会見(平成26年4月)の席上、鴈治郎さんが語った言葉は印象的だった。「関西のみなさまに愛される鴈治郎になりたい。そして、上方文化の隆盛に全力を注ぎたい」と》

大阪の人は、私が道を歩いていると、気軽に「鴈治郎さん」て声をかけてくれるんです。それがうれしくてねえ。(聞き手 亀岡典子)

(14)へ進む