仏紙ルモンドが1ページの訃報を載せた漫画家谷口ジロー(1/2ページ) - 産経ニュース

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仏紙ルモンドが1ページの訃報を載せた漫画家谷口ジロー

仏紙ルモンドが1ページの訃報を載せた漫画家谷口ジロー
仏紙ルモンドが1ページの訃報を載せた漫画家谷口ジロー
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 フランスの芸術勲章を受章し、描いた作品が欧州各国の合作で映画化されるなど海外で高い評価を受けている漫画家、谷口ジロー(本名・治郎)が69歳で亡くなって丸4年となる2月、画業50周年原画展が出身の鳥取県で開かれている。21日まで。ハードボイルドや格闘、山岳、動物、文芸など幅広いジャンルの作品を描き、古里や家族を題材とする文学的な作品も発表した谷口。展覧会では、漫画家としての軌跡とともに、郷土とのかかわりにもスポットをあて、人気の秘密に迫っている。

漫画界の小津安二郎

 原画展は鳥取、米子両市で開催され、谷口が高校を卒業するまで過ごした鳥取市では古里を舞台とした作品、米子市ではそれ以外の作品の原画計約250点を展示。このうち鳥取会場では、テレビドラマになった「孤独のグルメ」(1994~2015年、原作・久住昌之氏)などとともに「遥(はる)かな町へ」(1998年)も展示された。この作品は2010年、舞台を鳥取県倉吉市からフランスに置き換え、フランス、ドイツなどの共同制作により映画化された。

 原作は、東京に住む48歳の会社員が出張のついでに古里の倉吉市に帰郷。母の墓前で気を失い、中学生時代にタイムスリップするというストーリー。

 細密なタッチで描かれた街並みは、白壁土蔵の倉吉をほうふつさせ、原画展に訪れた人たちが目を見張る。この作品は2003年フランス「アングレーム国際漫画祭」最優秀脚本賞を受賞。その2年後には「神々の山嶺(いただき)」(2000~03年、原作・夢枕獏氏)で同祭の最優秀美術賞を獲得し、谷口はストーリーテラーとして、デザイナーとして、ともに高い評価を得る漫画家としての地位を確立した。その作風から巨匠映画監督になぞらえ「漫画界の小津安二郎」とも評されるようになっていた。

フランス芸術勲章受章

 昭和22年、鳥取市中心部で生まれた谷口は、同県立高校を卒業後に京都で就職したが、「自分は漫画以外に何も興味がない」ことに気づき、8カ月後に上京。漫画家の石川球太氏、上村一夫氏らのアシスタントを経て、45年にデビューした。その後、のちにテレビドラマ化された「事件屋稼業」(1979~94年、共作・関川夏央氏)などで注目され、自身も転機になったと認める「『坊っちゃん』の時代」(1987~96年、原作・同)では、劇画タッチの絵から、1本の線でしっかり描く明るい雰囲気の画風に転換した。