宝塚歌劇団花組のトップスター柚香光(ゆずか・れい)主演のブロードウェー・ミュージカル『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』(潤色・演出、原田諒)が今月2~9日、大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演された。ガーシュウィン兄弟の軽快なメロディーに乗せて歌い踊り、軽やかなタップダンス。思わず見ている方の体も動き出す。笑って弾んでそして奇想天外な結末に。公演は1週間だったが、「もっと長く見たい」と思わせる作品だった。
(田所龍一)
舞台は1920年代「禁酒法時代」のニューヨーク。柚香が演じるのは大金持ちの御曹司ジミー。
「ぼんぼんでどうしようもない男だけど、どこか愛嬌(あいきょう)がある。最後にはみんながしようがないなぁと好意的に見ている。そんな男です」と柚香。
ジミーは4度目の結婚を明日に控え、独身最後の日を楽しんでいた。そこに現れたのが華優希(はな・ゆうき)ふんするボーイッシュな少女ビリー。彼女はお酒の密売を企てるギャングの一味。そうとは知らず、ジミーはどんどんビリーにひかれていく。
結婚式の当日、ジミーの母親が現れ秘密が発覚。えっ、ジミーの母親がギャングの元締? 婚約者は腹違いの妹? あっちこっちでカップルが出来上がり、舞台の上は幸せいっぱい。
この作品は2012年にブロードウェーで初上演され、ジミー役をベテラン俳優のマシュー・ブロデリック。ビリー役をケリー・オハラ(2015年に『王様と私』でトニー賞主演女優賞)が務め大好評を博した。
演出の原田氏は「ブロードウェーのオリジナルをなぞるのではなく宝塚版として仕上げました」という。その一番の違いは「若さ」だろう。ブロードウェーでジミーを演じたマシューはちょっぴりおなかが出た中年のおじさん。ビリー役のケリーも当時36歳の大人の女性。他の出演者の年齢もいろいろだった。