【主張】告発医師死去1年 露骨な隠蔽の正体をみよ - 産経ニュース

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主張

告発医師死去1年 露骨な隠蔽の正体をみよ

 これが中国共産党政権の実像である。

 新型コロナウイルスの流行初期に警鐘を鳴らした湖北省武漢の医師、李文亮氏が亡くなって7日で1年となった。

 李氏を英雄視する追悼行動が政府批判につながることを恐れたのだろう。死去1年を前に献花や墓参を規制する厳戒態勢が敷かれ、李氏の墓がある「武漢市九峰山革命烈士陵園」の周辺では多数の警察関係者が警戒に当たった。李氏の名も記された「烈士」の立て看板では一時、李氏の部分だけシールで隠された。

 李氏は一昨年末、SNSで未知のウイルスによる肺炎に注意を呼びかけたが、当局により「デマを流した」として摘発され、訓戒処分を受けた。

 その後、李氏は自らも新型コロナに感染し、SNSに「健全な社会は1種類の声だけであってはならない」との言葉を残して昨年2月7日に死去した。

 武漢市民らの抗議、非難が殺到したため、当局は李氏の処分を撤回し、昨年4月には「烈士」の称号授与を発表した。

 この7日夜、李氏の死去1年を報じたNHK海外放送のニュース番組は数分間にわたって中断された。視聴できなかった映像は、李氏が当局から処分を受けたことなどを報じる部分だった。

 折しも、武漢市へは世界保健機関(WHO)の国際調査団がウイルスの発生源や感染経路を調べるために訪問中だった。

 調査団は流行初期に多数の感染者が確認された「華南海鮮卸売市場」や流出の疑惑がある「中国科学院武漢ウイルス研究所」などを訪れて調査を終えた。「ウイルスの起源解明には数年かかる可能性がある」のだという。

 常識的には、発生から1年以上を経て、証拠は残されていないだろう。もっと早く調査すべきであったし、これを拒み続けたのは中国である。李氏処分の経緯も調査対象であるはずだが、死去1年の追悼の動きでさえ、目に触れさせようとはしない。

 李氏の死去を受けて昨年2月、北京大学の憲法学者、張千帆教授らは「人民の知る権利が奪われた結果、数万人が肺炎に感染し、死者は1千人にのぼった」と指摘する声明を公表した。感染者は今や世界で1億人を超え、死者は約230万人を数える。それが中国による言論封殺の結果である。