【社説検証】コロナ特措法改正 朝毎東は私権制限と懸念 産経「感染抑制が最重要」 - 産経ニュース

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コロナ特措法改正 朝毎東は私権制限と懸念 産経「感染抑制が最重要」

緊急事態宣言下、閑散とした夜の六本木 =3日、東京都港区(松井英幸撮影)
緊急事態宣言下、閑散とした夜の六本木 =3日、東京都港区(松井英幸撮影)

 新型コロナウイルスの改正特別措置法と改正感染症法が成立した。休業や営業時間短縮の命令に応じない事業者、入院を拒否した患者らへの罰則が導入される。新規感染者数は減り始めたが高止まりが続き、医療現場は逼迫(ひっぱく)している。改正法の活用を含め、政府や自治体、国民それぞれの取り組みが求められている。

 政府は従来、特措法改正は「新型コロナの感染が収束した後に検証、検討する」との立場だった。だが、緊急事態宣言下、改正法案の審議は予算案より優先され、実質4日間でのスピード可決となった。

 感染症対策に強制力の必要性を訴え、早期の改正を求めてきた産経は、「特措法などの改正は本来、昨年の感染状況が比較的落ち着いていた時期に済ませておくべきだった。政府と国会は怠慢を繰り返してはならない」と、新型コロナ対応で後手に回らぬようクギを刺した。一方、「議論は不十分で、多くの問題が積み残された」(毎日)など拙速との批判も目立った。

 罰則の導入をめぐり論点となったのは、感染抑制のための実効性確保と、私権の制限のバランスである。産経が前者を重要と考えるのに対し、朝日や毎日、東京は、後者を重視し、罰則導入に否定的な立場を取った。改正法は、与野党による修正協議の結果、政府案にあった懲役、罰金といった刑事罰は削除され、行政罰の過料に改められた。金額も引き下げられた。

 朝日は「それでも感染拡大の責任を市民の側に転嫁し、罰を与えることで行動を抑えつけようという強権的な姿勢は、本質において変わっていない」と批判し、「感染防止対策がいい加減でも時短要請さえ守ればいいのか。密告やいわゆる自粛警察がはびこることにならないか。公平性や実効性がはっきりしないままの、罰則ありきの改正だ」と断じた。

 「罰則を導入することにより、感染者への差別や偏見を助長する恐れがある。検査を避ける人が増えることも懸念される」と指摘したのは毎日である。東京は「行政罰では保健所職員が対応しなければならず、ただでさえ過重な負担がさらに増えかねない」と案じた。読売も「政府や自治体は罰則を振りかざすことなく、対策の重要性に理解を求めていくべきだ」と慎重な運用を求めた。

 菅義偉首相は改正法成立を受け、「支援策と行政罰をセットにし、実効性を高めるものだ」と述べた。産経は現状の支援策は不十分とし、改正法施行を機に充実させるよう求めた。「今の飲食業への一律1日最大6万円の支援策には不備な点がある。規模の大きな事業者の経営が立ち行かなくなれば雇用問題に直結する。経営不安から要請に応じなければ感染抑制につながらない。支援額の適正化と対象業種の拡充が必要である」と論じた。

 毎日は「懸念されるのは、時短などの命令に応じた事業者への財政支援が具体的に明記されていないことだ」「国会では『経営への影響の度合いなどを勘案する』との付帯決議が採択されたが、政府は一貫して曖昧な答弁を続けている」と支援面での不安を表明し、「事業規模や売り上げの減少に応じた支援が必要だ。政府が公平性に配慮した支援策を用意し、事業者が応じやすい環境を作ることが不可欠だ」と強調した。

 改正法成立の前日の2日、緊急事態宣言の栃木県を除く10都府県での1カ月延長が決まり、3月7日までとなった。緊急事態延長も各紙が一斉に社説で取り上げたが、おおむね「やむを得ない」との評価である。いま、解除すれば、新規感染者数が再び増加に転じる恐れがあるというのだ。それにより、3度目の宣言を出さざるを得なくなるようでは元も子もない。(内畠嗣雅)

 ■コロナ特措法改正をめぐる主な社説 

 【産経】

 ・協力に十分な支援必要だ

 【朝日】

 ・運用監視し再見直しも

 【毎日】

 ・罰則でなく支援を前面に

 【読売】

 ・罰則頼らず国民の理解求めよ

 【日経】

 ・改正法の下で飲食ルールの効果検証せよ

 【東京】

 ・これで協力得られるか

 <注>いずれも4日付