えひめ丸事故20年 渡航断念も慰霊の短歌・俳句届ける

「えひめ丸の事故を忘れてはいけない」と話す「アイムえひめ」理事長、菅紀子さん=2月3日、松山市
「えひめ丸の事故を忘れてはいけない」と話す「アイムえひめ」理事長、菅紀子さん=2月3日、松山市

 米ハワイ沖で愛媛県立宇和島水産高校(同県宇和島市)の実習船「えひめ丸」が米原潜に衝突され、9人が死亡した事故から10日(日本時間)で20年となる。松山市のNPO法人「アイムえひめ」理事長、菅(かん)紀子さん(61)は毎年、ホノルル市で慰霊碑に花を手向けてきたが、今年は新型コロナウイルスの影響で渡航を断念。そんななか、「せめて慰霊の気持ちだけでも届けたい」と県内の学生らに俳句と短歌を募り、現地の関係団体に送る。(村上栄一)

 菅さんはハワイに住んでいた平成21、22年にホノルル市で行われた慰霊式に参列。慰霊碑を手厚く世話する人たちに感銘を受けた。帰国後も「忘れてはいけない大切なこと」と毎年現地で慰霊式に加わり、遺族らが再会する様子を見守ってきた。

 今年は事故から20年の節目となるが、コロナ禍で現地入りを断念。「なんとか別の形で続けていくことはできないか」と考え、思い立ったのが、短歌と俳句を送ることだった。

 菅さんが非常勤講師を務める松山大(松山市)と岡山理科大獣医学部(愛媛県今治市)の学生のほか、松山市内の高校、関西やアルゼンチンの俳句クラブなどに協力を呼びかけた。約100人から計約150点の作品が集まり、菅さん自身も4首の短歌を詠んだ。

 「えひめ丸を設計したと今治の同級生告ぐ彼の無念も」

 「渡航時の天候毎年変はりきぬ飛べぬ今年は懸念要らねど」

 「昨年の渡布時は不明のウイルスの懸念増しつつ慰霊を果たせり」

 「(慰霊碑のある)カカアコに三々五々集い来てやあ久し振りと言えない今年」

 集まった俳句・短歌は、ハワイ日米協会とえひめ丸慰霊碑管理協会へメールで送るとともに、宇和島水産高校で10日に行われる「えひめ丸事故追想の日式典」で慰霊碑にささげられる予定だ。

 菅さんは「20年たつと、えひめ丸の事故を知らない若い人もいる。知っている人は忘れないよう、知らない人は知ってもらうことから始めなければ」と話している。

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