転入超過、大阪市が全国最多 コロナ禍で東京集中に歯止め

 昨年の人口移動報告(外国人を含む)で、転入者が転出者を上回る「転入超過」は大阪市が東京23区を上回り、市町村別で全国最多となった。現行の集計方式となった平成26年以降、大阪市がトップに立つのは初めて。インバウンド(訪日外国人)需要を背景に近年は大阪市への流入増が続くが、京都や神戸など周辺は流出が目立つ。今回は新型コロナウイルス禍で東京集中が減った要因が指摘され、関西経済に詳しい専門家はコロナ後に備えて人を呼び込める産業基盤の強化が必要だと訴えている。

 人口移動報告によると、昨年の大阪市の転入超過数は1万6802人。2位の東京23区(1万3034人)を3千人以上上回った。3位は横浜市の1万2447人。総務省によると、政令市が転入超過で東京23区を上回ったのは、平成9年の横浜、札幌両市以来だ。

 東京23区はこれまで5万~7万人程度の転入超過が続いていたが、昨年は新型コロナの感染拡大による転入者の減少などがあり、一気に減速。東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)でみても、転入超過は前年比4万9540人減の9万9243人に縮小している。

 大阪市は近年、人が集まる傾向が顕著になっていた。平成28年の転入超過は約8千人だったが、2年後の30年は約1万2千人、令和元年は約1万3千人に拡大した。人口は今年1月時点で約275万人で、市が毎年10月1日時点の人口を比較したところ、平成12年以降は増加が続いていた。

 背景にあるのは、自宅と勤め先の距離が近い「職住近接」のニーズの高まり。さらに、堅調だったインバウンド需要や2025年大阪・関西万博の開催決定による雇用面での期待感から、西日本各地から人が集まる傾向があった。

 それでも広域的に見た場合、一極集中は緩和されていないといえる。名古屋圏(愛知、岐阜、三重)は1万7387人、大阪圏(大阪、京都、兵庫、奈良)は118人の、いずれも「転出超過」だった。名古屋圏も大阪圏も、東京の受け皿になりえていない実情がある。

 関西の政令市でも、大阪市以外では人の流出が目立つ。京都市は昨年2020人の転出超過で、堺市と神戸市では、現行集計となった平成26年以降、転出超過が毎年続いている。

 大阪市への人口流入を専門家はどう見るか。「1番になったのは誇らしいが…」。日本総研の若林厚仁・関西経済研究センター長はこう前置きしつつ、「コロナの影響で東京圏への引っ越しが難しくなり、結果的に(大阪からの)流出が減ったことが一番の要因」との見方を示す。

 若林氏は「進学や就職を機に関西の若者が東京を目指す傾向は変わっていない」とした上で、「コロナ収束後のインバウンド需要の復活に備え、産業基盤を強化し、さらに人を呼び込む必要がある」と提言している。

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