危機を好機に変えるDX 学習院大教授・伊藤元重(1/2ページ) - 産経ニュース

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危機を好機に変えるDX 学習院大教授・伊藤元重

閣議に臨む(左から)加藤勝信官房長官、菅義偉首相、橋本聖子五輪担当相・女性活躍担当相=5日午前、首相官邸(春名中撮影)
閣議に臨む(左から)加藤勝信官房長官、菅義偉首相、橋本聖子五輪担当相・女性活躍担当相=5日午前、首相官邸(春名中撮影)

日本経済の停滞の背景には需要サイドと供給サイドの両面の問題がある。需要サイドの問題は明らかだ。構造的に需要が不足している。政府のテコ入れがないとデフレに陥る構造になっている。世界的な長期停滞と呼ばれる現象だ。だからこそアベノミクスでも、金融や財政を通じた需要喚起を続けてきた。そうした成果はコロナ危機前に企業収益の改善、雇用の増加、名目GDP(国内総生産)の回復などの形で表れていたが、残念ながら、コロナ危機で需要はさらに落ち込むことになった。当分の間これまで以上の需要喚起が必要となるだろう。

問題なのは、日本経済が供給サイドでも深刻な問題を抱えているということだ。潜在成長率が非常に低い状態にあり、需要をいくら喚起しても経済成長率が伸びない。これでは、将来に明るい展望を描くことはできない。潜在成長率は3つの要因で決まるという。労働と資本がどれだけ増えていくか、そして全要素生産性と呼ばれる生産性がどれだけ伸びるのかということだ。多くの人が指摘するように、近年の日本の生産性の伸びは低調だ。だから潜在成長率も非常に低くなる。

もちろん、政府もこうした事態をよく理解している。だからこそ成長戦略という形でさまざまな供給サイドの政策を仕掛けてきた。貿易自由化交渉、法人税の引き下げ、規制緩和などである。ただ、政府にできることには限界がある。最終的には企業が自ら行動を起こしビジネスモデルの転換や構造改革をしない限り、生産性は上がらない。政府は企業という馬を水場に連れていくことはできても、馬が水を飲む気がない限りはどうにもならない。