衝撃事件の核心

飛び降りの巻き添えになった女子大生と遺族の理不尽の代償

建物からの転落による巻き添え死が起きた場合、転落防止策に欠陥があり、事故との因果関係が立証されれば施設側の過失が認められる。だが、飛び降り自殺まで想定することは求められておらず、木村弁護士は「欠陥と事故の因果関係が認められるハードルは非常に高い」とも話す。

とはいえ、平成19年に東京・池袋駅前のビルから女性が飛び降り、下にいた男性が死亡した事故など、高層ビルの飛び降り自殺による巻き添え死は後を絶たない。施設警備に詳しい仙台大の田中智仁准教授は「特に人通りの多い繁華街のビルの管理者らは、自主的にできる限りの対策を講じていくべきだ」と警鐘を鳴らす。

遺族への支援は

残された遺族はどうすればいいのか。一般的に、自殺に巻き込まれ家族を失った遺族が、自殺者の親族から損害賠償を受け取ることは難しい。本来、自殺者が負うべき賠償責任の債務は両親などに相続されるが、事件から3カ月以内に相続を放棄すれば、賠償請求できなくなるからだ。

一方、遺族が国の「犯罪被害者等給付金」の給付対象になる可能性はある。本来、交通事故などの過失事件では給付されないが、捜査関係者は「飛び降り巻き添え事件の場合は事情を考慮し、被害者に給付されたケースがある」と明かす。

ただ、同給付金の30年度の平均額は、被害者が亡くなっている場合でも約600万円。弁護士で犯罪被害者支援委員会の合間利事務局長は「理不尽な事故に巻き込まれた遺族への経済的支援は十分とはいえない。制度を検討する余地はある」としている。(桑波田仰太、小松大騎、宇山友明)