【主張】森氏の問題発言 組織委もJOCも猛省を - 産経ニュース

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森氏の問題発言 組織委もJOCも猛省を

 どこまで東京五輪・パラリンピックを逆風にさらすつもりか。

 女性蔑視と受け取れる発言をしたとして、謝罪した大会組織委員会の森喜朗会長である。

 3日に行われた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、森氏は「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言し、女性理事が意見を述べる際の時間制限などにも言及した。

 組織委の女性理事について「わきまえておられて、的を射たご発信をされて非常にわれわれも役立っている」とした発言も看過できない。組織運営への女性の参画や男女平等は、国際オリンピック委員会(IOC)が掲げる理念でもある。いかにも女性を見下ろした森氏の物言いが、世論の強い反発を買ったのは当然だ。

 森氏は誤解を生んだとして、4日に発言を撤回したが、問題の根本を分かっていない。世論が批判するのは、女性起用への森氏の認識に対してである。発言を「誤解」したからではない。

 男性中心で行われてきた競技団体の組織運営は、閉鎖的な体質を生み、助成金の不適切受給やパワーハラスメントなど、規範意識の薄さは目に余るものがあった。女性参画は組織運営に多様な意見を反映させ、風通しをよくするための時代の要請といえる。

 東京大会では、女性選手の比率が史上最高の48・8%となる。男女がほぼ同数となる歴史の転機の重みを、森氏が理解しているとは言い難い。政官財界との太い人脈を生かし、開催準備を推し進めてきた功績は否定しない。だが、その発言が事あるごとに物議を醸しても周囲が止められず、野放しになっていたことも事実だろう。

 角が立つ物言いを、世間が受け入れたわけではない。森氏がトップに立つことが開催機運の障害となっている現実を、組織委は自覚してほしい。

 JOCも同罪である。臨時評議員会では、森氏の発言をとがめる声は出なかった。山下泰裕会長が5日になってやっと発言を疑問視する見解を示したのは、当事者意識の深刻な欠如を物語る。

 ただでさえ、新型コロナウイルス禍が広がる中での五輪開催準備には批判が強い。組織委やJOCには猛省を求めたい。これ以上向かい風が強まれば、開催への機運は本当にしぼんでしまう。