双子のバイオリニスト「奇跡のシンクロ」

1月31日に開いた初の2人だけのコンサートで二重奏を披露する美玲さん(右)と音葉さん=大阪府池田市のマグノリアホール
1月31日に開いた初の2人だけのコンサートで二重奏を披露する美玲さん(右)と音葉さん=大阪府池田市のマグノリアホール

 クラシック音楽家の登竜門とされる「全日本学生音楽コンクール」のバイオリン部門小学校の部で、大阪府高槻市の双子の姉妹が1、2位を独占した。市立赤大路小5年の姉、富樫美玲(みれい)さん(11)が1位、妹の音葉(おとは)さんが2位。双子ならではの感応性で二重奏(デュオ)では奇跡のシンクロと評される2人について、指導する母の美音子(みねこ)さん(41)は「ライバル同士であり、大切なパートナーでもあるのが強み。舞台を踏むごとに互いに成長している」と話す。

 バイオリン教室を開く美音子さんの下で3歳から練習を始めた2人は5歳でコンテストに初入賞。小学3年時から、現在は日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターを務める田野倉雅秋氏に師事した。

 2人とも1日4時間の練習を欠かさないが、美玲さんはこつこつ取り組むタイプ、音葉さんは感覚や感性を生かすタイプ。バイオリンの魅力について、美玲さんは「繊細できれいな音色が気持ちいい」、音葉さんは「いろんな演奏技法が楽しめて面白い」と話す。

 コンクールなどで個々の力を競うだけでなく、デュオでの活動にも積極的だ。6歳で関西フィルハーモニー管弦楽団と共演。小学4年時には、テレビ朝日「題名のない音楽会」に出演し、大人にとっても難曲とされるイタリアの作曲家モンティの「チャールダーシュ」で超絶技巧を披露した。

 全日本学生音楽コンクールの全国大会は昨年11月に横浜市で開催された。自分たちの成績について、美玲さんは「1番目という緊張感から失敗しそうになった部分もあったので1位となってびっくり」。音葉さんは「昼食をとり損ねて本番に臨んだため、おなかがすいてリハーサル通りにいかなかった」と、少し悔しげに振り返った。

 世界的バイオリニストの五嶋みどりさんが目標という姉妹。「多くの人に好かれるバイオリニストになりたい。でも動物が好きなので飼育員も気になっている」(美玲さん)、「バイオリン職人になって、自分が作った楽器で演奏したい」(音葉さん)と夢を語った。

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