【ソウル=桜井紀雄、ワシントン=黒瀬悦成】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は4日、バイデン米大統領と電話会談した。米韓首脳の電話会談は先月20日のバイデン氏の就任後初めて。両首脳は、日韓関係の改善と日米韓の協力が地域の平和と繁栄にとって重要であるとの認識を確認し、朝鮮半島の非核化に向けて緊密に協力していく方針で一致した。米韓両政府が発表した。
文氏は、慰安婦問題で日本政府に賠償を命じた韓国裁判所の判決に「困惑」を表明し、日韓関係の改善に意欲を示している。日米韓協力を重視してきたバイデン氏が、文氏との間で公式に日韓関係改善の必要性を共有したことで、文氏がさらに日本との関係改善に本腰を入れる可能性がある。
米韓首脳は、早急に包括的な対北朝鮮戦略を共に準備する必要性でも一致した。ただ、南北対話の再開のため、トランプ前米大統領が進めた対北首脳外交の継承を望む文氏に対し、バイデン政権は、強力な制裁を軸に対北政策の全面的な見直しを検討中で、認識の違いが既に露呈している。
米側によると、バイデン氏は、北東アジアの平和と繁栄の基軸である米韓同盟の強化に取り組んでいくと強調した。
バイデン氏は菅義偉首相とは先月28日に電話会談しており、韓国では、新大統領との電話会談の遅れを懸念する声が出ていた。
文氏が就任後の多忙な中での通話に謝意を示すと、バイデン氏は「韓国大統領と通話できないほど忙しくはない」と冗談で返した。
米韓首脳は、クーデターが起きたミャンマー情勢に関し、早急な民政復帰が必要との考えでも一致。新型コロナウイルス対応や世界経済の回復に向けた協力を加速するほか、感染状況が落ち着き次第、対面会談する方針も確認した。