話の肖像画

歌舞伎俳優・中村鴈治郎(61)(4) 「おちょやん」と「半沢直樹」

京都の撮影所に造られた大正時代の道頓堀のセットがよくできていたらしいんですよ。当時の道頓堀は、歌舞伎や喜劇を上演する劇場や芝居茶屋、飲食店がズラリと立ち並び、それはにぎやかだったそうじゃないですか。上方歌舞伎の役者としては、セットであっても当時の雰囲気を体現したい。私のシーンは社長室ばかりだったので見られなかったのです。それで、昨年9月某日にセットを見に行こうとしたら、スタッフの方に、「すみません、今日、取り壊しなんです」って言われましてね。1日遅かったんですよ。それは残念でした。

《歌舞伎俳優がドラマに出演してお茶の間に顔を知られることは大切だという》

テレビで見た、あの俳優が出ているのなら、一度、歌舞伎を見に行こう、ということも多いと思います。ただ、大河ドラマや連続テレビ小説などは1年間とか半年間とか放送されますのでスケジュールが大変で、どうしても歌舞伎の舞台が少なくならざるを得ない。でも、外のお仕事というのは自分自身への刺激にもなります。もちろん、本業の歌舞伎が第一ですが、ときにはドラマに出させていただくことも大事ですね。(聞き手 亀岡典子)

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