法廷から

甲子園優勝校の主将が強盗、なぜ… 野球をやめた絶望、孤独が背景に

 事件当日、初対面だった共犯者3人と神奈川県内で合流し、犯行現場となる八街市へ向かった。千丸被告は、強盗をするとは犯行直前まで知らなかったと主張。だが検察側は、犯行現場までの車内での会話で、強盗だと認識しなかったのは不自然で、千丸被告の証言は信用できないと指摘し、懲役6年を求刑した。

 恩師である花咲徳栄の岩井隆監督も証人として出廷。大学でのしごきについて電話などで相談をうけた際は「耐えろ。そういう世界もある」と話し、退部後に報告を受けた際にも叱責したという。岩井監督は、「もう少し寄り添っていたらこうはならなかったと思う。重いものを背負っていかなくてはならない千丸の支えになりたい」と述べた。被告は今後、岩井監督の大学時代の後輩が経営する会社に勤める予定だ。

 全身全霊をささげた野球を意図せず失ったむなしさが犯行につながった経緯には酌量の余地もあるが、突然、自宅に押し入られた被害者の恐怖は想像を絶し、決して許されるものではない。裁判員の判断が注目される。(長橋和之)

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