--海警法をめぐりメディアを含め世論の関心が低い。この法律の危険性についてどう発信していくか
「関心がないのではなく、この海警法というものが知られていないだけだろう。緊急申し入れの背景として、2月1日から中国は日本の海で武器を使用できるという、とんでもない法律を施行していると知らせるためにも、こういう行動を起こしている。護る会として、まずは行動することにより、国民にお知らせすることをやりたい」
--海警法をめぐり中国の覇権主義的な考えがあるが、自由主義陣営ではドイツやフランス、英国が軍艦を派遣して対応する
「中国はその程度で、南シナ海や東シナ海を制覇しようとする手を緩めたりしない。確かにフランスの原子力空母シャルル・ドゴールがやってくる予定になっていたり、英国も一番強いといわれる空母を出してくるが、具体的に行動しているのは『航行の自由』作戦での米軍のごく一部の行動だけだ」
「フィリピンやベトナムは抗議の声を挙げるだけで、実際にはなかなか動けない。そうすると、日本の役割がどれだけ重大か。まさか戦争にならないようにするためにも、日本の意思を明確にしなければいけないというのは緊急を要する事項だ」
「護る会は本来(男系男子の皇位継承などの)3本柱の目標があり、それに力を注いでいるが、わが国の領土が人命を失うリスクも伴って侵犯されるのを看過するようであれば、皇位継承であれ、国土浸食の防止であれ、何もできない。中国は腹を決めて、この海警法を施行したので」
「『フランスが来てくれて、英国が来てくれて、ドイツも海軍の艦艇を派遣する。そういうことで、じわじわとやりましょう』という段階では全くない。日本はアジアの民主主義のリーダーで、当事者だ。その当事者が動かずして欧州からの海軍の艦船の派遣で、いくばくかの安心を得るのはそもそも常道に反する」
「防衛は自分の国の領土、領海、領空、国民を守ることだから、その基本条件を外した国だから、拉致事件も起きて、拉致被害者も帰ってこないままになっている。全部根っこはつながっている。海警法という暴挙に中国が出たことに対し、われわれの姿勢を明示しないといけない」
--中国の少数民族に対する人権迫害も問題だ。護る会としての対応は
「喫緊の問題は米国が政権が変わっても中国がウイグル人に対して『ジェノサイド(民族大量虐殺)』を行ったと認定している。ブリンケン国務長官も議会の証言でそのように言っている。日米同盟といいながら、党外交部会で、外務省の姿勢として『日本は「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(ジェノサイド条約)」に入っていないから態度を鮮明にできない』ということだったが、それにとどまる問題ではない」
「ジェノサイド条約は、国連加盟国の3分の2以上が加盟している。日本は国連憲章を守る立場から、現状でいいとはとても思えない。まず、ジェノサイド条約があるから、それに加盟する、しないについて護る会で議論したい」
「先日の外交部会で個人的に衝撃だったので外務省を追及したが、外務省の出した資料は香港とチベットとウイグルはあるが、南モンゴルがなかった。わざと南モンゴルを外したとしか思えない。ジェノサイドの始まりは南モンゴルというのが定説だ」
「1月28日未明の日米電話首脳会談で、ホワイトハウスが発表した資料には『中国の問題を話し合った』と書いてあるが、外務省が党外交部会に出した資料には中国の『ち』の字もなかった。異様に中国の問題を避けて通ろうとする姿勢は明らかにある」
--中国問題を避ける政府の異様な姿勢の背景についてどう考えるか
「謎だ。放っておけば、外務省が中国寄りになるのは、今までの経験から明らかだ。きちっと政治の責任で方向を正さないとこうなるということだ」