自民「護る会」の青山氏 海警法に「『関心もって注視』は黙認と同じ」 会見詳報

日本の尊厳と国益を護る会・青山繁晴代表ら=12日午後、首相官邸(春名中撮影)
日本の尊厳と国益を護る会・青山繁晴代表ら=12日午後、首相官邸(春名中撮影)

 自民党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表・青山繁晴参院議員)は2日、中国で海上警備を担う海警局に武器使用を認める海警法が施行されたことを受け、自衛隊と米軍の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での共同訓練の実施などを求める政府への緊急要望を取りまとめた。5日に菅義偉首相に提出する。

 要望は(1)尖閣周辺での定期的な日米共同演習の実施(2)自衛隊と在沖米軍の統合連絡本部の那覇市への設置(3)海上保安庁の大型巡視船の配備(4)尖閣周辺で自然海洋上陸調査の実施(5)石垣市に国が運営する「尖閣歴史資料館」の開設(6)ベトナムやフィリピンなど海警法施行に反発する近隣諸国との連携-

 会合後、青山氏が記者団と行った主な一問一答は以下の通り。

 --加藤勝信官房長官は海警法施行について「高い関心を持って注視している」と述べるにとどめている

 「それでは『逆メッセージ』になることを強く懸念する。海警法施行に影響を受ける国々で、わが国と友好関係にあるベトナムやフィリピンは実質強く抗議している。日本は『関心をもって注視する』だけでは、(中国の姿勢を)支持することにはならなくても、黙認と受け取られる恐れも国際社会においてはある。それではまったく足らない」

 「護る会は衆参64人いるが、今日の総会は今までで一番多く議員が出席したと思う。本人出席が29人、代理が11人。合わせると40人。この海警法でフェーズ(局面)が変わった。尖閣諸島をめぐる問題だけでなく、中国が日本を含む近隣諸国に及ぼす影響の次元が変わったとの共通認識があるのだろう。政府を批判するためではなく、中国が巻き起こす新しい事態に即応するために強い関心をもって皆が集まった。護る会の緊急要望はマキシマム(最大限)に要求しているのではなく、最低限これだけは必要だという趣旨だ」

 --もっとどういうことを要望したいか。政府当局は「やります」との姿勢は見せるが、行動に移さない。フェーズは変わったことで政府は動くと考えるか

 「一つ目は、例えば自民党は平成24年衆院選で『(尖閣への)公務員常駐』は公約したが、それを忘れたかのようにふるまっている、事実上。では、常駐する公務員は誰なのか。常駐とはどういう施設を置くのか。その根拠法をどうするのかということをはじめ、より恒久的で具体的な提言が必要となる。今月半ばを目指して、護る会64人の意見を吸い上げ、骨格のある提言を作り直し、首相、防衛相、海上保安庁を所管する国土交通相を含め、党の幹事長、政調会長らに出していきたい」

 「2点目の質問だが、『政府はやる、やると言いながら…』と(記者は)言ったが、『やる、やる』とさえ言っていないのではないか。『尖閣諸島はわが国固有の領土で、領土紛争も存在していない』ということはずっと言っているが、中国は実質的にそれを否定するような行動に出て、日常的に領海を侵犯している」

 「それに対して何かをするという意思表示すら(政府には)ない。フェーズが変わったといっても、放置すれば中国の場合は本気だと思われる。尖閣諸島が奪われる事態が冗談ごとではなくなる。イデオロギーや中国に対する考え方の問題ではなく、わが国の領土を守るために、やらなければいけない」

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