英TPP加盟申請 アジア太平洋地域の対中強硬策で存在感狙う

第1回環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)委員会 記念写真後、参加国閣僚と握手する安倍晋三首相(当時・中央右)=2019年11月19日午後1時9分、東京都内のホテル(代表撮影)
第1回環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)委員会 記念写真後、参加国閣僚と握手する安倍晋三首相(当時・中央右)=2019年11月19日午後1時9分、東京都内のホテル(代表撮影)

 【ロンドン=板東和正】英国が「対中包囲網」としての意味合いがある環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の加盟を申請した背景には、世界各国との連携で影響力を図る「グローバル・ブリテン」構想を掲げる英国として、まずアジア太平洋地域で存在感を高める狙いがある。

 TPPが自由貿易圏を作り、国際的なルールに背を向ける中国を牽制(けんせい)するために発足した枠組みであることを意識し、ジョンソン英首相はTPP申請を発表した1月30日の声明で「自由貿易の旗手となる」と宣言した。南シナ海の領有権をめぐり中国と対立するベトナムなどのTPP加盟国を「新たなパートナー」と呼ぶなどして、連携強化を約束した。

 対中戦略を研究する英専門家は「英国はTPPを通して、中国と対立を深める加盟国と経済だけでなく安全保障面でも協力したい考えだ」との見解を示す。

 ジョンソン政権は昨年1月末の欧州連合(EU)離脱以降、グローバル・ブリテン構想を掲げており、アジア太平洋地域をめぐる政策に力を入れている。

 香港などにおける人権問題をめぐり、中国への対抗姿勢を鮮明にしているほか、海洋進出を強める中国に対抗するため英最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群を年内に西太平洋を中心に派遣する計画もある。英政府は、中国の脅威をにらんだ日米とオーストラリア、インドの4カ国で構成される枠組み「クアッド」への参加も検討する。

 英国が対中政策を強めるのは、中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」を目指すバイデン米政権と足並みをそろえる狙いがあるためだ。英メディアなどによると、バイデン政権でインド太平洋地域担当の高官ポストに起用されたカート・キャンベル氏がクアッドの拡充を提唱したことが、英国が参加を視野に入れるきっかけになったという。

英国がTPP加盟を正式申請