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ミャンマー、深まる混乱 国軍「選挙で不正」で行動正当化

2015年の総選挙後の12月、握手するミン・アウン・フライン国軍総司令官(左)とアウン・サン・スー・チー氏=ミャンマー・ネピドー(ロイター)
2015年の総選挙後の12月、握手するミン・アウン・フライン国軍総司令官(左)とアウン・サン・スー・チー氏=ミャンマー・ネピドー(ロイター)

 【シンガポール=森浩】ミャンマー国軍がアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らを拘束した背景には、スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が昨年11月の総選挙で圧勝したことで求心力が低下することへの軍指導部の危機感があるとみられる。

 総選挙でNLDは連邦議会の改選分の83%に当たる396議席を獲得したのに対し、国軍系政党、連邦団結発展党(USDP)は前回を下回る33議席にとどまった。

 選挙結果に対して、国軍は一貫して反発を続けた。国軍報道官は1月26日に「選挙に不正があった」と主張し、クーデターの可能性を否定しなかった。27日には国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官が「法律を守らない人がいるなら、憲法であっても廃止されるべきだ」と述べた。真意は不明だが、クーデターを示唆したのではないかとの観測が広がった。

 国軍は不正の証拠を示しておらず、選挙管理委員会は「選挙は公正だった」とコメント。選管の主張に対し、国軍は「公正に実施されたことを示す証拠の提示」を求め、主張は平行線をたどっていた。

 国軍には、1日から始まる予定だった国会を経て第2次スー・チー政権が正式発足した場合、存在感が低下するとの焦りが募っていた。そもそも国軍には2015年総選挙に勝利して政権を握ったNLDへの不満がくすぶっていた。根強い「スー・チー人気」などで、求心力低下が顕著となったためだ。

 スー・チー氏は少数民族武装勢力との和平を推進しようとしたが、政治的影響力を維持したい国軍はスー・チー氏の思惑どおりに動かなかった。スー・チー政権は昨年、軍政下で制定された憲法の改正に乗り出したが、国軍の反対に直面し、国軍に有利な条項は残る結果となった。

 ただ、都市部を中心にNLDへの支持は厚く、国民の支持が得られるかは未知数で、政局の混乱は続きそうだ。

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