世界の論点

核兵器禁止条約発効 仏紙は「理想と現実」の乖離を問題視

これに対し、仏紙ルモンドは、条約は実効性を欠くとしながら、「核兵器を持つ民主主義国にプレッシャーをかける。核兵器に対する世論に配慮せねばならなくなる」として、一定の効果があると認めた。

一方、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の中でも、日本と同様に米国の「核の傘」に守られる国からは、新条約参加見送りを批判する声も上がった。

ドイツ誌シュピーゲル(電子版)は1月22日、核禁条約を支持するドイツ、オランダ、ベルギーの学者による共同寄稿を掲載した。この3カ国は米軍の戦術核を国内に受け入れており、有事の際は、自国軍機で運搬する任務を担う。

寄稿は「われわれの国にとって、核兵器は東西冷戦の遺物であり、軍事的に意味はない」と位置づけた。3カ国の核兵器は、欧州が米ソ対立の最前線だった時代に持ち込まれたもので、すでに国防上の意味はないのだから、各政府はできるだけ早く核禁条約に加われ、と主張した。

フランスと異なり、ドイツでは冷戦時代から、核廃絶運動が活発だった。欧州では、中立国のオーストリアやアイルランドが条約を批准している。(パリ 三井美奈)

■NZ 不参加国や企業にも影響

核軍縮の旗振り役となってきたニュージーランド(NZ)では政府やメディアが「核兵器禁止条約」(核禁条約)発効を歓迎した。核保有国は参加を見送ったが、開発や保有を例外なく違法と定めた国際法規の成立は、「核軍縮への重要な一歩になる」と期待を寄せている。

NZ国内では第二次世界大戦後、近隣の太平洋地域で相次いで核実験が実施された経緯から、核兵器への反発が根強い。政府は1987年には「非核法」を成立させ、核兵器を積んだ艦船や軍用機の入国を全面的に禁止しており、米国との関係が一時冷却化した時期もあった。非核は「国是」ともいえ、核禁条約は2018年に批准している。

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