一歩ずつ~復興への軌跡~

福島から目指せ世界 新地町で「凸凹」に夢中の子供たち

 波のようにうねったコースをバイシクルモトクロス(BMX)が駆け抜ける。冷たい風をものともせず、熱中する子供たちの表情は真剣そのものだ。

 東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた福島県新地町の釣師(つるし)地区に、昨年7月オープンした「しんちパンプトラック」。起伏に富んだコースは、BMXやマウンテンバイクなどの自転車にとって、重心を移動することでペダルをこがずに走れるという。

 3コースで総延長555メートル。国際大会も開催可能で、今年8月には世界的な大会の予選開催も決定した。インストラクターの高橋開さん(29)=仙台市=は「舗装されたパンプトラックは珍しく、技術向上にも最適。ここから世界で活躍する選手が出てくるかも」と話す。

 いわき市の会社員、倉持大志さん(30)は長男の皇輝君(9)、次男の陽翔(はると)君(7)と3人で、自宅から約100キロの距離を毎週のように通う。倉持さんの自宅は令和元年10月の台風19号で床上浸水。復旧が一段落して息抜きで体験したところ、病みつきになった。「すごく楽しい」と口をそろえる兄弟は、みるみる腕を上げている。

 被災地に生まれた「凸凹(でこぼこ)」の施設。世界レベルの選手誕生に期待が膨らむ。(芹沢伸生、写真も)