攻めた一山、感謝の力走 大阪国際女子マラソン - 産経ニュース

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攻めた一山、感謝の力走 大阪国際女子マラソン

攻めた一山、感謝の力走 大阪国際女子マラソン
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 期待された日本記録の更新はならなかったが、堂々の優勝を果たした。「開催されるかどうかが不安だった。全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです」。レース後のインタビューでは感極まった。

 ツルの渡来地として知られる鹿児島県出水市で育った。出水中央高校(同市)時代の恩師、黒田安名(やすな)さん(66)によると、「普段はぽーとしたような、天然で面白い子」。入学時の夢は客室乗務員(CA)だった。

 ただ、ひとたび練習に入ると、妥協を許さぬ厳しい姿勢に目を見張った。県内でも優勝には縁がなく、全国的には無名といえる存在だった。しかし、長距離適性の高さを見抜いた黒田さんはいつしか、「オリンピックを目指そう」と声をかけるようになったという。

 将来性を認められ、卒業後は実業団の強豪ワコールへ。着実に実力を伸ばし、昨年3月の名古屋ウィメンズでは2時間20分29秒の好タイムで優勝。焦がれてきた五輪代表に名を連ねた。

 その後、新型コロナウイルス禍に直面し、精神的に落ち込んだ時期も。だが昨秋、特別表彰を受けるため出水市に凱旋(がいせん)した際、熱烈な出迎えを受け、「こんなに多くの人が応援してくれている。スイッチが入りました」。地元の期待を力に変えた。

 「守りに入らず、攻めよう」。この日、黒田さんの激励に応えるような力走を見せた。「実業団で苦しんだ時期もあったが、走るたびに輝く今の姿が本当の麻緒だ」。黒田さんはかみしめるように話した。

 実家ではテレビの前で家族が声援を送った。父の剛(たけし)さん(53)は「重圧に負けず、かっこいい走りを見せてくれた。自分の娘かなと思うくらい感動した」。母の優子さん(51)は「力を出し切ってくれた」と安堵(あんど)した。(西山瑞穂)