日本、「中国包囲網」TPP加盟国拡大の好機

第1回環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)委員会 記念写真後、参加国閣僚と握手する安倍晋三首相(当時・中央右)=2019年1月19日午後1時9分、東京都内のホテル(代表撮影)
第1回環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)委員会 記念写真後、参加国閣僚と握手する安倍晋三首相(当時・中央右)=2019年1月19日午後1時9分、東京都内のホテル(代表撮影)

 英国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟申請は、TPPの議論を主導してきた日本にとって加盟国拡大を実現する好機だ。英国がTPPに加盟すれば欧州で英国にならう機運が高まるとの期待もあるほか、米国のTPP復帰の呼び水になる可能性もある。高い水準の自由化を目指すTPPは中国包囲網としての意味合いがあるだけに、英国のTPP加盟実現の重要性は高い。

 「(英国は)我が国と基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナー。ハイスタンダードなルールをアジア太平洋を越えて広げる大きな可能性を秘めています」

 西村康稔経済再生担当相は31日のツイッターへの投稿で、英国の加盟が高い水準の自由貿易圏を拡大させる可能性に期待を示した。

 英国は欧州連合(EU)を離脱したが、そのEUとの間で自由貿易協定(FTA)を実現。さらにTPPに加盟すればアジアと欧州の結節点になりえる。日本が議長国として英国の加盟を成功させた場合、「日本のアジアにおける経済的なリーダーシップが一層強調されることになる」(第一生命経済研究所・田中理主席エコノミスト)。

 また英国がアジアとの関係を強めれば、他の欧州各国も刺激を受けてアジアとの関係強化のためにTPPを考えるきっかけにつながる可能性もある。さらにTPPを離脱した米国で誕生したバイデン政権はTPP参加には消極的とされているが、英国のTPPへの接近が状況を変えることもありえる。

 中国はTPP参加検討を表明したものの、TPPが求める高い自由化水準を達成するまでのハードルは高い。英国の参加が実現すれば対中国での結束を強める効果もありそうだ。(那須慎一)