救急医「コロナは災害と同じ」予防徹底を - 産経ニュース

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救急医「コロナは災害と同じ」予防徹底を

基本的な感染予防対策の徹底を呼び掛ける甲斐達朗医師=大阪府吹田市
基本的な感染予防対策の徹底を呼び掛ける甲斐達朗医師=大阪府吹田市

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療現場では必要な医療が受けられない「医療崩壊」が危惧されている。救急医療に長年携わる医師は「災害現場と同じ状況」と指摘し、若い世代にも「自分のこととして考えてほしい」と訴える。関西で感染者が確認されてから1年が過ぎ、基本的対策の徹底が改めて求められている。(鈴木俊輔)

 「現場は綱渡り状態だ。コロナはもはや災害といえる」。長年、救急医として第一線に立ってきた大阪府済生会千里病院(吹田市)の顧問、甲斐達朗医師(70)。平成7年の阪神大震災をはじめ、数々の災害現場でも医療活動の経験がある。

 同病院は昨春の「第1波」からコロナ対応を継続。ICU(集中治療室)のうち3床をコロナ患者用とするほか、一般病棟にも専用のフロアを設けた。それでも「ベッドが空けばすぐ埋まる、の繰り返し」(甲斐氏)だ。

 3次救急医療機関の同病院には、コロナ患者以外にも脳梗塞や心筋梗塞、交通事故の重傷者などが搬送される。経験豊富な甲斐氏は今の現場を「発生直後の被災地と同じ状況」と表現。限られた人員と設備で混乱と対峙(たいじ)する状況は、ほぼ同じに見えるからだ。

 各地では自宅療養中に症状が悪化し、死亡するケースが出ている。甲斐氏は「感染判明から1週間ほどで急激に悪くなることもある」と指摘し、コロナへの警戒を呼びかける。

 ただ、現時点では効果的な治療法が存在せず、国内ではワクチン接種も始まっていない。甲斐氏は「うがいや手洗い、密を避けるといった基本的な対策を徹底してもらうしかない」と求めた上で、若い世代に向け「『自分たちは重症化しない』ではなく、軽率な行動が、自身や周囲の命を奪ってしまうことを意識してほしい」と呼びかけている。