インド、露防空システム導入を準備 将兵団派遣…米は反発か

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアのクダシェフ駐インド大使は、露最新鋭防空システム「S400」の導入を計画しているインドが、操作訓練のために100人規模の将兵団をロシアに派遣すると明らかにした。米国はインドのS400導入に反対しており、米印関係に一定の影響が出るのは確実だ。今後の推移次第では、中国を念頭に日米豪印が連携する「自由で開かれたインド太平洋」構想に冷や水が浴びせられる事態にもなりかねない。

 イタル・タス通信によると、クダシェフ氏は今月19日、印将兵団のロシア派遣に言及し、「契約段階から実践段階への重要な移行だ」と評価。印国防省筋も派遣を認めた。派遣時期は「近く」とされ、具体的には明らかにされていない。

 S400は対空ミサイルやレーダー、運搬車両などで構成。射程400キロで航空機やミサイルなどを撃ち落とせる。これまでに中国とトルコが導入している。

 露印のS400調達契約は2018年に締結。インドは約54億ドル(約5600億円)を支払い、5連隊分のS400を調達するとした。調達開始は今年秋以降の予定。インドは防空力を強化し、緊張関係にある中国やパキスタンを牽制(けんせい)したい考えだ。一方、ロシアにはS400輸出を通じ、米印を引き離したい思惑もにじむ。

 露印は伝統的に兵器調達で友好関係にあるが、両国のさらなる接近を警戒する米国はインドにS400導入の再考を求めてきた。米国はS400を導入した北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコに昨年12月、制裁を発動した。

 インドは米国の制裁リスクを解消した上でS400調達を始める考えだが、ロイター通信は今月、「対露強硬派のバイデン米政権からインドが制裁を免除される可能性は低い」とする関係筋の観測を伝えた。