市場一変、窮地の楽天…無料の禁じ手も投入 携帯革命に高い壁 

プレゼンテーションする楽天モバイル代表取締役会長兼CEOの三木谷浩史氏=29日午後、東京都港区(三尾郁恵撮影)
プレゼンテーションする楽天モバイル代表取締役会長兼CEOの三木谷浩史氏=29日午後、東京都港区(三尾郁恵撮影)

 携帯電話の料金値下げの旗手として市場に参画した楽天が、大手や格安事業者の値下げ攻勢に遭い、追い詰められている。新プランでは月のデータ消費量が1ギガバイト以下の顧客を無料にするという禁じ手にも打って出た。これまで赤字が続く楽天の携帯電話事業は、顧客開拓や自社回線網の拡大などでも課題が山積しており、今後も苦しい綱渡りが続きそうだ。

 「これが楽天の心意気だ」。料金の値下げを発表した29日の記者会見で、楽天の三木谷浩史会長兼社長はこう胸を張った。ただ、言葉の力強さとは裏腹に楽天の携帯電話事業は窮地に陥っている。

 楽天モバイルの自社回線サービスは昨年末、申込件数がようやく200万回線を超えたにとどまり、三木谷氏が掲げる令和2年内に300万回線超という目標は達成できなかった。

 消費者の多くが不満を抱くのが楽天の自社回線エリアの狭さだ。基地局などを借りているKDDI(au)とローミング(乗り入れ)契約の見直しが進んでおり、「屋内や地下でつながらない」という利用者の声は大きくなっている。

 追い打ちをかけるように、ソフトバンクから楽天モバイルに転職した社員が、技術情報を持ち出した不正競争防止法違反の容疑で逮捕された。警察の捜査が進めば、楽天の基地局建設に影響する懸念もある。

 楽天が顧客獲得に苦戦しているうちに市場環境は一変した。携帯大手は格安ブランドで着々と楽天包囲網を築き、主力ブランドでもデータ容量20ギガを月額2000円台で提供する新プランを発表した。

 楽天は5年度までに事業を黒字化させる目標を掲げる。三木谷氏は価格が優位になることで顧客の獲得コストが下がるとして、値下げをしても「達成時期は変わらない」(三木谷氏)と語る。

 ただ、無料キャンペーンを実施している今でも契約が伸び悩んでいるのが実情で、携帯事業の収益のさらなる悪化は避けられないとみられる。「携帯市場に革命を起こす」という三木谷氏の理想には現実という厳しい壁が立ちはだかっている。(高木克聡)

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