バイデン新政権

国連大使に指名されたグリーンフィールド氏、国連での中国の影響力拡大に対抗を表明

米上院外交委員会の承認公聴会で証言するリンダ・トーマスグリーンフィールド氏(ロイター)
米上院外交委員会の承認公聴会で証言するリンダ・トーマスグリーンフィールド氏(ロイター)

【ワシントン=黒瀬悦成】バイデン大統領から国連大使に指名されたリンダ・トーマスグリーンフィールド元国務次官補(アフリカ担当)は27日、上院外交委員会の承認公聴会で証言し、国連で影響力を高める中国について「各種の国連機関で権威主義的な計略の推進に取り組んでいる」と非難し、対抗策を講じていくと表明した。

トーマスグリーンフィールド氏は「米国が国連を率いてこそ、国連は地球人類の将来の救済に献身する最も偉大な平和機関になり得る」と述べ、中国の策動は「国連創立の価値観、すなわち米国の価値観に反するものだ」と指摘した。

同氏はまた「米国が一貫して(民主主義や人権尊重などの)価値観に基づいて影響力を行使すれば、国連は平和と安全、集団的な幸福を達成するのに不可欠な機関となる」と述べた。

その上で、トランプ前政権が国連軽視の立場を示していたことを念頭に「米国が(国連から)去れば他国が空白を埋めて国際社会と米国の国益が損害を受ける」と指摘。「(国連での)中国の策動の成否は、米国が撤退するかどうかにかかっている」とし、「私はそのようなことは許さない」と強調した。

一方、米紙ワシントン・ポスト(電子版)は27日、同氏が2019年10月、南部ジョージア州の大学に設立された中国語教育機関「孔子学院」で講演し、中国の巨大経済圏構想「一対一路」を称賛したほか、中国によるアフリカ進出を評価していたと報じた。

公聴会で複数の上院議員から講演での発言の真意について質問された同氏は「中国に行動に対し甘い考えは全く抱いていない。中国のことは日常的に批判している」と反論した。

トーマスグリーンフィールド氏は南部ルイジアナ州出身。1982年に国務省に入り、リベリア大使などを経てオバマ元政権下の2013~17年にアフリカ担当の国務次官補を務めた。

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