児童虐待~連鎖の軛

親の苦悩、読者から多数のお便り

連載「連鎖の軛」では、読者から多くのメールや手紙が寄せられた=大阪市中央区
連載「連鎖の軛」では、読者から多くのメールや手紙が寄せられた=大阪市中央区

産経新聞は昨年7月~今年1月、児童虐待をめぐる現状を取り上げ、社会が虐待の連鎖を防げていない要因などを探る連載「連鎖の軛(くびき)」を掲載した。読者から寄せられた多数のメールやお便りの中には、幼少期のトラウマに苦しむ人や、自らの虐待行動に悩む親の体験談もあった。

幼少期のトラウマ

《歪(ゆが)んだ子育てしか知らないので、他の関わり方が分からない。子供の愛し方が分からない》。虐待を受けて育ったという東京都の母親(36)はこうつづった。虐待が連鎖するケースはむしろ少ないともいわれるが、苦しむ親は多い。

大阪府の3児の母親も《体罰はいけないと当然わかっています。けれど、どうしても手が止まらず、やめられないのです。涙をぼろぼろ流しながら、体が止まらない》と明かし、《「これが連鎖か」と両親を呪いました》と吐露する。

ただ、この母親は「愛着障害」を知って徹底的に調べ、クリニックに治療に通ったことで、子供との関係を改善させられたともつづり、《「生き地獄」にも出口があるのだという希望を持ってほしい》と願った。

三重県の元中学教員の男性(59)も乗り越えた一人だ。酒癖の悪い父に苦しめられたのに、今度は自分が子供を傷つける。立ち直れたのはカウンセラーと妻の支えが大きかったといい、《そんな人が身近にいなければ、死を意味します》と振り返る。初孫が生まれたばかりで、連鎖を断つ決意を新たにしている。

誰にも相談できず

当然、親の過去だけが虐待につながるのではない。奈良県の夫婦は子供が大好きで、子供を望みながらも10年間授からず、幼い男児の里親になった。しかし、子育ては思った以上に大変だった。周囲に頼ることができなければ、《あれだけ嫌悪していた虐待の当事者になる可能性は十分にありました》と書いた。

自身の体験から《自分だけは(虐待を)絶対にしないとは言い切れない》と痛感。今では、《子供が一番かわいそうだけれど、一人で抱え込んで誰にも助けを求めることができないでいた親も犠牲者なのかもしれない》と考える。