虐待を考える演劇の力 劇作家「解決への希望伝える」

親の孤立増加 声かけ大事

育児で親が孤立してしまう危険性は、統計調査でも裏付けられている。

大阪府立大の山野則子教授(児童福祉)らが平成15年、兵庫県内のある自治体の全ての母親を対象に実施した調査によると、生後4カ月の子供を持つ母親の34・8%が「近所に世間話をする人はいない」と回答した。さらに孤立して育児負担感を増した母親が、虐待につながる可能性は89%に上ることも分かった。

また、昭和55年の調査と比べると、孤立する母親は2倍以上になった。国は支援を強化するが、核家族化やひとり親家庭が増えたことなどを背景に、「子育ての状況はむしろ悪化している」(山野氏)。

一方、児童虐待への関心の高まりを受け、児童相談所の虐待対応件数は約19万件、市区町村が「要保護児童」「要支援児童」とする子供は計約23万人にまで増えた。だが、その割合は子供全体からみると1%程度にとどまり、3分の1の母親が孤立していることを考えると、差し伸べられる手は極めて限定的といえる。

山野氏は子育てサークルや子供食堂など「社会縁」と呼ぶつながりに期待しており、「一人一人がお母さんに温かい言葉をかけるだけでも違う」と述べ、「虐待は誰にでも起こり得ることを忘れないでほしい」と訴えている。

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