虐待を考える演劇の力 劇作家「解決への希望伝える」

「みえないランドセル」の稽古の様子。普段はマスクを着用しており、現在は稽古自体を休止している(山谷典子さん提供)
「みえないランドセル」の稽古の様子。普段はマスクを着用しており、現在は稽古自体を休止している(山谷典子さん提供)
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演劇を通じて児童虐待について考えてもらおうと、劇作家で、「文学座」(東京)の俳優でもある山谷(やまや)典子さん(44)が、虐待をテーマにした戯曲を書き上げた。1年以上にわたって続けた取材に、現在の新型コロナウイルス禍や自身の子育ても重ねた作品。「登場人物に思いを寄せやすい演劇だからこそ、解決への希望を伝えられるのでは」と思いを込めた。(西山瑞穂)

作品は「みえないランドセル」。数カ月先の東京を舞台に、助産師の雪(ゆき)と、赤ちゃんと2人でアパートに引きこもる母親、遥(はるか)を主人公として描いた。

《救急車。救急車呼んで!》。物語は、赤ちゃんが搬送される場面から大きく動き出す。次第に明かされる遥の壮絶な過去。遥がその後、一命を取りとめた赤ちゃんとどう向き合うか、雪や近隣住民との関わりがどう変化するかが見どころだ。

コロナに奪われ…

山谷さんが準備を始めたのは一昨年の秋。東京都目黒区や千葉県野田市で幼い女児が死亡する虐待事件が相次いだなか、文学座のスタッフ、最首(さいしゅ)志麻子さん(56)が「演劇は社会を映す鏡。今こそ虐待を扱うべきだ」と提案したことがきっかけだった。

過去の虐待事件の資料を読み込み、産婦人科や精神科の医師、助産師らに取材して気づいた。「虐待が世代間で連鎖するケースはある。ただ、どこかで愛情に触れた人は乗り越えられるのも事実」。このことを物語にしたいと考えた。