最新IoTで地域活性化 NTT東栃木支店、実証実験で技術提供

クビアカツヤカミキリのフラス(足利市提供)
クビアカツヤカミキリのフラス(足利市提供)

 あらゆる機器を通信でつなぐ「モノのインターネット(IoT)」の普及を見据え、NTT東日本栃木支店は、県内企業の生産性向上などを図る組織「県IoT推進ラボ」のアドバイザーとしての役割を担う。令和2年度には、同ラボが実施する5つの実証実験について、NTTグループの持つ9つの技術を提供。県内外における官民の協働者を増やし、地域の課題解決に寄与したい考えだ。

 同ラボは平成30年9月、県によって設立された。産官学の機関が連携し、IoTやビッグデータ、AI(人工知能)、ロボットなどを活用した革新的な製品・サービスを創出するのが狙いだ。昨年12月からは、地域課題を解決するための5つの実証実験が行われている。

 22日、「AIを用いたクビアカツヤカミキリの早期発見」に関する実証実験の経過報告会がオンラインで開かれた。

 足利市では、外来種のクビアカツヤカミキリによるモモやサクラなどの樹木への被害を防ごうと、市民らに情報提供を呼び掛けている。しかし、見た目が似ている虫との判別が難しいことや、市役所の部署間での伝達が円滑でないなどの課題があった。

 経過報告会では、市民らがスマートフォンで撮影・投稿したフラス(クビアカツヤカミキリの幼虫のフンが混ざった木くず)とみられる情報や、スマホのGPS(衛星利用測位システム)で得られる位置情報が簡単、正確に担当職員へ提供される仕組みについて説明があった。

 AIを使い、フラスや成虫の写真を画像認識する仕組みも実証実験の対象。この日は、さまざまなカミキリの成虫の写真を画像認識して、90%台の高い確率でクビアカツヤカミキリを判断できたことも報告された。2月末には、実証実験の最終報告書が県に提出される予定だ。

 県内ではこのほか、災害時の情報収集・伝達の強化及び効率化(県)▽ロボットを活用した市庁舎案内(那須烏山市)▽陸上養殖業における効率的な成育環境管理(那珂川町)▽情報発信手法の最適化(足利市)の4つの実証実験が行われている。同支店は、AIによる画像認識や自動応答システム「チャットボット」、会員制交流サイト(SNS)情報の収集・分析など、参加企業の中で最も多い9つの技術を提供した。

 同支店は「来年度以降も、さまざまな形で地域活性化に向けた取り組みを自治体と連携して実施していきたい」と話している。

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