いきもの語り

表彰台 盲導犬と一緒に パラトライアスロン選手・中沢隆さん(41)

【いきもの語り】表彰台 盲導犬と一緒に パラトライアスロン選手・中沢隆さん(41)
【いきもの語り】表彰台 盲導犬と一緒に パラトライアスロン選手・中沢隆さん(41)
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 「デネブ、行くよ」

 練習に向かうパラトライアスロン(視覚障害)の選手、中沢隆さん(41)=サイネオス・ヘルス・コマーシャル=が自宅玄関でハーネスを手に声をかけると、盲導犬のデネブ(8)は喜んで駆け寄った。中沢さんは数々の世界大会に出場し、過去には世界ランキング6位につけたこともある実力者。現在は東京パラリンピックを目指すトップアスリートだ。ラブラドルレトリバーのデネブは競技に身を投じる中沢さんを陰で支えている。

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 拠点としている「A&A 西東京スポーツセンター」(西東京市)までは10分ほど。デネブは「レフト」「ライト」といった中沢さんの指示に従い軽快に進路を変え、歩みを進める。障害物を避け、段差や交差点があれば必ず立ち止まり飼い主に知らせる。

 中沢さんは緑内障により95%の視野が欠損し、前を向いて歩いているときは足元が見えない。日常生活でのけがを避けるため、国内の遠征には常にデネブを帯同し、初めての地でも行動をサポートする。「パートナー兼子供のよう。なくてはならない存在だ」と目を細める。

 電気工事会社で勤務していた27歳の頃に緑内障を発症。徐々に視野が狭くなり、32歳で障害者手帳を手にした。テレビ番組で全盲の少女がトライアスロンに挑戦する企画を見て「自分より見えない少女が泳いで自転車を漕いで走っていた。自分にもできるのではないか」と思い立った。

 青山トライアスロン倶楽部に入会すると、めきめきと力をつけ、翌年に千葉県館山市で行われたアジア選手権で優勝。世界を見据えるようになった。

 デネブを迎えたのはトライアスロン挑戦から数年後。職場を退職し、あん摩・マッサージの勉強をすべく進学した筑波技術大で同僚が盲導犬を連れているのを見て「白杖を付いているよりも目立つ」と盲導犬ユーザーとなることを決めた。日本盲導犬協会から紹介されたのがデネブだった。協会で1カ月の泊まり込みの研修を得て自身のものになったが、「最初から呼吸がピタリとはまっていた」と振り返る。

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