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政府は新型コロナウイルス対策の決め手となるワクチン接種の態勢整備を急ピッチで進めている。確保が先行する米製薬大手ファイザー社のワクチンはマイナス75度での超低温冷凍による保管と解凍後5日以内の使用が求められる上、全国民を対象にするような集団接種は「数十年ぶりで、ノウハウ不足」(政府高官)だ。史上最大規模のワクチン接種作戦に政府はどう立ち向かうのか。(市岡豊大、大島悠亮)
「ワクチンを小分けにしないと集団接種の時に密状態ができる。そこでクラスター(感染者集団)が起きたら話にならない」
政府関係者は今回の接種の難しさを説明する。国内では平成6年の予防接種法改正以降、インフルエンザワクチンなどの集団接種もほとんどなくなった。
政府が今回、ワクチン供給契約を結んだ3社の計3億1400万回分のうち、2月下旬に使用可能となるのがファイザー社製ワクチンだ。1億4400万回分と全体の約半数を占める。
問題は扱いにくさ。薬液に不安定な成分が含まれているため、保管や搬送にはマイナス75度前後の超低温状態が必要で、解凍すると通常冷蔵(2~8度)で5日以内に使い切らなければならない。1170回分が1セットになっており、効率的な使用が求められる。
こうした扱いにくさを克服するため、国、地方、医療、物流業界などが「総力戦」で臨もうとしている。
具体的には、全国の総合病院などの「基本型接種施設」に国が一括購入するディープフリーザー(超低温冷凍庫)1万台を配備し、ワクチンを冷凍状態でいったん搬送。ここで解凍して必要な量に小分けにしたうえで、人口5千人当たり1カ所を上限に設置する診療所などの「サテライト型接種施設」へ原則3時間以内に運び、5日以内に使用する。