【近ごろ都に流行るもの】「刺繍で認知症予防」 「脳トレ手芸」も登場、針仕事で若さ維持(2/2ページ) - 産経ニュース

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近ごろ都に流行るもの

「刺繍で認知症予防」 「脳トレ手芸」も登場、針仕事で若さ維持

 ツテを頼り、東北大と日立ハイテクが設立した脳科学企業「NeU」(東京都千代田区)にたどり着く。川島博士は「脳トレの手段は長く続けられることが大切。楽しく前向きに前頭前野を鍛え、認知機能の維持・向上が実現できれば」と依頼を快諾した。

 昨夏行った1回目の実験では、18人の男女(平均66歳)が参加し、クロスステッチ刺繍未経験者の9割以上が「楽しかった」と回答。比較対照として動画視聴も同条件で行い、双方を比べたところ、刺繍作業時は動画視聴時より8・5倍も高い脳活動量を示した。また、1週間毎日15分刺繍を続けた73歳女性は、脳年齢80歳から76歳に。同様に79歳女性も、脳年齢78歳から74歳に若返った。

 「針仕事だけでなく、調理や掃除など家事全般が便利になった現代生活は、脳にとってはマイナス要因。とはいえ、昔の暮らしに戻ることはできないので、1日10~15分の手芸など、脳を積極的に使う習慣をつけてほしい」と、NeUの担当者は呼びかける。

 脳トレ手芸シリーズは発売1カ月で1200キットを販売。5月をめどにポーチなどの実用品に刺繍するキットのほか、第2弾の「編み物」キットも発売しストール、靴下、セーター…と難易度も幅広く展開する。また、葛飾北斎など人気名画の刺繍再現も提案し、今後は生産体制を高めて薬局や介護施設、クラウドファンディングなど販売チャンネルの多角化を進めてゆく。

 川島博士の「大人のドリル」シリーズは累計602万部、DS用ソフト「脳トレ」シリーズにいたっては累計3400万販売と平成の一大脳トレブームを築き上げ、令和で「手芸」シリーズも加わった。完成品を飾ったり使ったりできる実用性も達成感を高めてくれるだろう。

 令和2年版「高齢社会白書」によると、65歳以上が占める高齢化率は上昇を続け、令和18(2036)年には33・3%と、3人に1人となる。認知機能が衰えてキレやすくなったり、言動が暴走したり、晩節を汚す老人の姿は悲しい…。針仕事をこの手に取り戻し、明るい超高齢社会に備えたいものである。