話の肖像画

歌手・郷ひろみ(65)(21)「アッチッチ」の語感に惹かれ

渋谷交差点で発生した“路上ゲリラライブ事件” =平成11年8月30日
渋谷交差点で発生した“路上ゲリラライブ事件” =平成11年8月30日

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《大ヒットとなったバラード3部作の成功に甘んじることなく、次なるステップを目指した。そうした中で出会った『GOLDFINGER’99』(平成11年7月)は、華麗なステージパフォーマンスを見せるニュー・オリジナルの確立となった》

原曲はリッキー・マーティンの『リヴィン・ラ・ヴィダ・ロカ』(Livin’ la Vida Loca)です。「かっこいい曲だな」とすぐに気に入りました。日本語の詞を書いたのは康珍化(かん・ちんか)さんという人です。最初、「アッチッチ、アッチ、livin’…」と、何か英語が多かった。僕は「これはダメ。アッチッチ最高だ、アッチッチで推そう」と思ったんです。『お嫁サンバ』の「イチ、ニッ、サンバ」の経験が生きているんですね。「アッチッチの語呂感がキャッチーだな」って。だからオリジナルのよさはリッキーに任せるから、僕は康さんに「アッチッチを増やしてください」と、書き直してもらったんです。

発売当初はボロクソにいわれたんですよ、周りから。「何でリッキー・マーティンのかっこいい曲が、こんな詞なんだ」って。でも僕は平気だった。これが『僕の’99』だってね。英語はいらない、英語はリッキーに任せて。ま、たまたまですがね(笑)…。

カバー曲を歌うとき、外国の曲が多かったのですが、僕はオリジナルを超えようとは思わなかったし、逆に超えられるとも思うし、それはそれであり方だと思うんです。そこで徹底的にマネをする。中途半端にやると物マネっぽくなる。百パーセント、マネができたとき、こっちの方がいいかなと思えることがある。「こっちもできるけど、これもあるよね」というのが出てくる。そこでいくつかの選択肢が生まれる。完璧にコピーしたときに、初めて僕自身が「いやこっちの方がいいかな」と思うものが出てくる。そこにオリジナルとは違うものが生まれる。『僕の’99』はそれだと思うんです。だからリッキーの『リヴィン・ラ・ヴィダ・ロカ』の英語のかっこよさと『僕の’99』は日本語バージョンでも別物で、対抗意識はなかったですね。

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