【モスクワ=小野田雄一】バイデン米政権の発足を受け、ロシア外務省は20日、2月5日に期限が切れる米露間の新戦略兵器削減条約(新START)について、「前提条件なしでの5年間の延長が望ましい」とする声明を発表した。
新START延長をめぐる米露間交渉では、米国のトランプ前政権がロシアに対して「全ての核戦力を凍結する」ことを条件に1、2年程度の延長を提案。この提案にロシア側は、「無条件での5年間延長」という従来の要求方針から転換し、米国が追加要求を出さないとの条件で1年間の延長に応じると表明した。
ロシアにとっては国力で劣る米国との軍拡競争を回避する思惑も働いた。
しかし、新START延長の必要性を訴えるバイデン氏が大統領に就任したことで、ロシアは再び自国に有利な従来の要求に立ち返った形だ。
ロシアのペスコフ大統領報道官は20日、「新STARTを延長したいというバイデン氏の意思をロシアは歓迎する」と指摘。「米国との良好な関係構築を願うロシアの立場は一切変わらない」と秋波を送った。
一方、マトビエンコ露上院議長は同日、「(バイデン政権下の)米国が国際法を尊重する立場に立ち返り、国際的な合意に基づく義務を果たし、他国への干渉や制裁的な政策をやめることを望む」と述べた。