鑑賞眼

劇団四季「The Bridge~歌の架け橋~」 だから私は劇場に通う

「劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~」の一場面(荒井健撮影)
「劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~」の一場面(荒井健撮影)

 首都圏に再び緊急事態宣言が出され、「演劇をやる意味」がまたも問われる事態となった。コロナ禍で開幕が遅れ、新しいJR東日本四季劇場「春」のこけら落としでお目見えとなった劇団四季の「The Bridge~歌の架け橋~」は、こんな困難な状況でもなぜ演劇が必要なのか、その答えを教えてくれる約90分の新作ショーだ。

 「CATS」「オペラ座の怪人」といった海外ミュージカルから、「ミュージカル李香蘭」などのオリジナルミュージカル、「はだかの王様」などのファミリーミュージカルまで、これまで観客を魅了し続けてきたあまたの作品のナンバーを、18人のキャストが歌い踊る。飯野おさみ、青山弥生といったベテランと若手が融合し、レベルの高いエンターテインメントを見せてくれる。

 スタッフの総合力にも瞠目させられる。高橋知伽江の構成・台本、荒木美保の演出は、劇団四季の強みが「言葉」と「歌」と「踊り」のいずれにもあることを教えてくれる。特に第5場のラストが「昭和の歴史三部作」ではなく「ノートルダムの鐘」の「いつか」なのは特筆すべき点だ。普遍的な祈りを歌うこの曲がレパートリーにあることが、劇団四季が演目を通じて一貫して平和を訴え続けてきたことの証でもある。そこから命の連鎖を歌う「サークル・オブ・ライフ」(ライオンキング)で第6場の幕開けという流れもすばらしかった。

 場面ごとに外部と劇団から起用された振付と衣装にも多様性が感じられ、見事なばかりだ。扇子を使ったフィナーレの「ワン」は特に印象的で、フォーメーションを変えながら全員を平等に見せてくれる演出がうれしい。今まさに充実期にある谷原志音は曲によってまったく異なる表情を見せ、飯田達郎と笠松哲朗の「自由を求めて」(ウィキッド)は深みと力強さが絶妙だった。

 最近四季に出合った人、昔から通い続ける人、どちらにも楽しめる宝箱のような作品。きっと四季とともに作ったそれぞれの「思い出」が、場面ごとによみがえるだろう。

 時代はまさにコロナという冬にあるが、どんなときも季節はめぐり、春が訪れる。JR東日本四季劇場「春」から客席に架けられた大きな愛の橋。どんなときも歌は寄り添ってくれる。この橋を渡りたくて、私たちは劇場に通う。もちろん、感染対策はしっかりと取ったうえで。

 2月11日まで、浜松町のJR東日本四季劇場「春」。福岡公演と全国ツアーあり。問い合わせは0570・008・110。(道丸摩耶)

 公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。