麻生財務相、PB黒字化目標を堅持 西村担当相、民需主導の成長軌道に

 麻生太郎財務相は18日召集された通常国会の衆院本会議で財政演説を行い、新型コロナウイルスの感染が再拡大する日本経済の現状に警戒感を示し、令和2年度第3次補正予算案、3年度予算案の早期成立と着実な執行が不可欠だとの考えを強調した。また、西村康稔経済再生担当相も併せて経済演説を行い、コロナ収束後を見据えた人材への投資など新たな成長戦略に力を入れる考えを指摘した。

 麻生氏はコロナ禍で経済は「依然として厳しい」と分析。3次補正と3年度予算で雇用と事業を支え感染拡大防止に取り組むとともに、今月発令した2度目の緊急事態宣言による経済や国民生活への影響を注意深く見極め、予備費による追加対策の実施を含め「適切に対応する」と説明した。

 今年度の新規国債発行額は3次補正段階で過去最大の約112兆6000億円に膨張。財政健全化は厳しさを増しているが、令和7年度の国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標は堅持する考えを示した。

 一方、西村氏は「経済再生なくして財政健全化なし」という政権の基本方針の下、日本経済を民需主導の成長軌道に戻すことに万全を期す考えを強調した。

 その上で、感染拡大防止と生産性の向上を両立するには、「新たな日常」を定着・拡大させ、新しい成長につなげる必要があると指摘。(1)デジタル化の推進(2)グリーン社会の実現(3)多様な人材の能力が発揮される人への投資-を「3つのニューディール」と位置づけ全力で取り組むとした。

 このほか、所管する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐって、参加意欲を見せる中国を念頭に「協定の高いレベルを満たす用意ができているかどうか、しっかりと見極める」と述べて、牽制(けんせい)した。

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