住宅クライシス

マンション修繕費用は適正か 「ミス」で4000万円「値引き」

マンションの管理会社が住民側の管理組合に提出した「お詫び」(左、一部画像処理しています)
マンションの管理会社が住民側の管理組合に提出した「お詫び」(左、一部画像処理しています)
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「人生最大の買い物」という人も多い住宅購入。ただ、マンションなどの集合住宅の場合は、購入後も維持管理をめぐるトラブルに悩む人が少なくない。住民同士の合意形成でもめたり、住民が積み立ててきた修繕費の使われ方が不透明だったり。知らない間に手続きが進んでいて、高額な工事費を請求されて驚くといったケースもある。大切な財産を守るには、住民自らが主体的に取り組む姿勢が必要だ。

専門機関が検証

大阪市港区の分譲マンションはこの2年間、大規模修繕工事をめぐって大きく揺れた。

総戸数は600戸超。関係者の話や内部資料によると、築40年超で大規模修繕が必要となったため平成30年4月、住民で作る管理組合のサポート役として、マンション管理会社がコンサル業務を請け負うことが決定。これに併せ、管理組合は工事額が適正かどうかの検証を専門機関に求める「セカンドオピニオン」の経費50万円を計上した。工事金額が妥当かどうか、素人目に判断するのは難しい。専門機関に委託するのは賢明な判断といえる。

ただ、住民の中には「セカンドオピニオンは不要」と主張する人もあり、管理組合が実施を正式決定できたのは11月2日と遅れた。その3日後には、入札で約4億4千万円を提示した大阪府内の建設会社が施工会社に決まったと管理会社から通知があり、月末から約9カ月間の予定で工事が始まった。

安い金額で可能

セカンドオピニオンについては、コンサル業務の一環として管理会社が発注を申請することになっていたが、着工から約4カ月が経過した31年3月、手続きが行われていないことが住民側の指摘で判明。前年12月に行われた管理組合の理事会では担当者が「(専門機関に必要書類を)提出済み」と説明していたが、実際は未提出だったのだ。

この発言は理事会の議事録にも記載されており、住民側は「虚偽」と非難。管理会社は謝罪し、コンサル報酬1300万円の半額に当たる650万円を減額した。管理会社に不信感を募らせた住民側は翌4月、自ら大阪市のNPO法人「近畿マンション管理者協会」にセカンドオピニオンを依頼。調査した同NPO側は8月、約3600万円安い金額で工事が可能とした報告書をまとめた。

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