浪速風

映画「心の傷を癒すということ」

避難所のシーンで、被災者の声に耳を傾ける安和隆(柄本佑さん)。柄本さんはモデルとなった安克昌医師の話し方、しぐさを忠実に守ったという (C)映画「心の傷を癒すということ」製作委員会
避難所のシーンで、被災者の声に耳を傾ける安和隆(柄本佑さん)。柄本さんはモデルとなった安克昌医師の話し方、しぐさを忠実に守ったという (C)映画「心の傷を癒すということ」製作委員会

明日、平成7年1月17日の阪神大震災から26年となる。四半世紀を過ぎた。だが当事者ではない第三者であっても、何年たっても思いを新たにしたい。生き残った者として何をなすべきか、考え続けたい。

▶先週末の小欄で「1995年1月・神戸」という本に触れた。震災下の精神科医らの活動をまとめた、同年3月の緊急出版。実は表紙をめくってぎくりとしていた。献辞が書かれていた。「安克昌(あん・かつまさ)」との署名。災害下の心の傷について弊紙で1年間連載してくれたこの精神科医については、何度も書いた。連載の最初の8回が本に収録されている。

▶彼は後、連載を「心の傷を癒(いや)すということ」という単著にし、39歳で亡くなった。昨年、NHKが放映した彼の本と同名のドラマの劇場版がまもなく公開される。美しい映像の記憶が、遠いかなたからよみがえった献辞の記憶と、痛切にまた優しく重なってくる。亡くなった方たちはいまも生者を導いてくれている。