深層リポート

山梨県「日本一の規制条例」目指す 環境破壊懸念の太陽光発電

木を切り倒した急斜面に設置された太陽光発電施設=山梨県甲州市勝沼町勝沼(渡辺浩撮影)
木を切り倒した急斜面に設置された太陽光発電施設=山梨県甲州市勝沼町勝沼(渡辺浩撮影)

日照時間が全国トップクラスの山梨県では事業用の太陽光発電施設の設置が進んでいる。だが、環境や景観への悪影響や災害時の土砂崩れの心配などがあり、周辺住民とのトラブルも起きている。県は規制条例案の6月議会提出を目指しており、成立すれば年内に施行される。長崎幸太郎知事は、抜け道を許さない「日本一の条例」にする方針だ。

都道府県で3例

「再生可能エネルギーの普及は、環境とエネルギーの両立のためにやるものだと理解しているが、木を切り倒して作る太陽光発電は矛盾しないかという思いを強くした」

長崎知事は昨年11月5日の記者会見で、北杜市の施設設置現場を視察した感想をそう語り、規制条例の制定を急ぐ考えを示した。

NPO法人、環境エネルギー政策研究所(東京)によると、太陽光発電施設の設置を規制する条例は昨年12月現在で少なくとも94自治体にあり、ほとんどが市町村。

都道府県の条例は兵庫、和歌山、岡山の3県だけで、兵庫県の条例は、県内全域で5千平方メートル以上(一部地域は1千平方メートル以上)の施設を作る際は知事への届け出が必要で、無届けや虚偽の届け出には5万円以下の罰金が規定されている。

県土の8割禁止

山梨県は平成27年にガイドラインを作り、森林法が規定する森林地域は「立地に慎重な検討が必要なエリア」、土砂災害が起きる恐れがある区域は「立地を避けるべきエリア」として指導してきたが、強制力はない。

県は条例制定に向けた有識者会議で、規制の内容として、森林地域や土砂災害が起きる恐れがある区域で出力10キロワット以上の施設の新設を原則禁止とする案をまとめた。禁止区域は県土の約8割に及ぶ。

既設の施設も規制する。既設、新設を問わず、全施設に維持管理計画書や定期点検報告書の提出を求めるほか、発電をやめたときには、パネルの廃棄を確認するため、事業廃止届の提出を義務付ける。

県によると、設置から維持管理、廃棄まで網をかける条例は異例という。違反が疑われれば立ち入り調査や改善命令を行い、従わない場合は事業者名の公表や過料を課すとしている。