賄賂か献金か… 問われる要望と現金提供の「趣旨」 - 産経ニュース

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賄賂か献金か… 問われる要望と現金提供の「趣旨」

吉川貴盛元農水相(佐藤徳昭撮影)
吉川貴盛元農水相(佐藤徳昭撮影)

 鶏卵生産大手「アキタフーズ」の秋田善祺(よしき)元代表(87)から現金500万円を受け取ったとして、元衆院議員の吉川貴盛元農林水産相(70)が収賄罪で在宅起訴された汚職事件。贈賄側の秋田被告が複数の政治家に長期にわたり現金を提供していたことが発覚したが、東京地検特捜部は現金の趣旨や受領者の職務権限などを見極め、吉川被告の大臣在任中に限り立件した。両被告とも趣旨について一部否認。現金は賄賂だったのか政治献金だったのか。今後の公判で争われることになりそうだ。

 事件の端緒は、検察当局が昨年7月、公選法違反事件で逮捕した元法相で衆院議員、河井克行被告(57)=公判中=陣営の関係先としてアキタ社を捜索したことだった。

 アキタ社の捜索で押収された資料や秋田被告の供述から、農水族議員の吉川被告や元農水相で内閣官房参与だった西川公也氏(78)ら複数の政治家に、政治資金収支報告書に記載のない「裏のカネ」が流れていたことが発覚。多額のパーティー券を購入しながら複数名義に分ける手法で、収支報告書への記載を逃れていたことも判明した。

 現金の授受は長年にわたり、贈収賄罪の時効を迎えているものもあった。複数回の授受があっても収支報告書に記載されず不透明さが残ったが、賄賂と認定するには、さまざまなハードルが立ちはだかった。

 関係者によると、西川氏は内閣官房参与で非常勤の国家公務員だったが、アキタ社で顧問も務めており、「給与」との切り分けが難しいことから、収賄罪での立件は不可能と判断。顧問として贈賄側での立件も一時検討されたという。

 そこで特捜部が注目したのが、平成30年10月~令和元年9月に農水相を務めていた吉川被告だった。

 秋田被告は在任中の吉川被告に、家畜をストレスの少ない環境で飼育する「アニマルウェルフェア」(AW)の国際基準案や、日本政策金融公庫の融資条件について業界の要望を伝えていた。検察幹部は「大臣の職務権限は幅広い。秋田被告の要望と現金の提供が時期的に近く、関与は明白だ」と話す。

 一方、アキタ社関係者は「現金は主にお歳暮とお中元の時期に渡されており、報告書に記載のない政治献金に過ぎないのではないか」と指摘。検察OBの弁護士は「吉川被告が具体的にどのような便宜を図ったかが重要だ」と述べた。