中国・新疆ウイグル自治区で「ジェノサイドの可能性」 米報告書

 【ワシントン=黒瀬悦成】米国の中国問題に関する超党派の連邦議会・行政府委員会(CECC)は14日に公表した2020年の年次報告書で、中国当局が新疆(しんきょう)ウイグル自治区のウイグル族などのイスラム教徒少数民族に対し、国際法上の犯罪である「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を実施している可能性があると指摘した。

 報告書は、この1年間で自治区での大量虐殺を含む「人道に対する罪の証拠」が浮上したと指摘し、米政府に対して自治区でのウイグル族などへの弾圧をジェノサイドであると公式に認定するよう促した。

 国務省は、ポンペオ国務長官の指示でジェノサイド認定するかどうかについて検討を進めているとされ、トランプ大統領の任期が切れる20日までに認定に踏み切るかが注目される。

 報告書によると、自治区ではウイグル族やカザフ族、キルギス族などの少数民族や約180万人が「広範かつ組織的」に施設に収容され、強制労働に加え、拷問や政治教化を受けている。また、外部に流出した中国政府の文書によると、強制収容システムが中国共産党の最高幹部の指令によって構築されたことが一層裏付けられたとした。

 さらに、中国当局がウイグル族らに対し、「家族や文化、宗教的信仰心の破壊」を目的に避妊手術や産児制限を組織的な政策として強制している証拠が新たに浮上したと指摘した。

 報告書はその上で、米政府に対し、ジェノサイド認定に加え、自治区の住民の監視に利用される顔認証システムや人工知能(AI)技術に関する新た輸出規制を設けるよう要請した。

会員限定記事会員サービス詳細