復興日本 東日本大震災10年

第1部 再生(3)帰宅難民「帰らない」選択

現在、一時滞在施設として公的な施設はほぼ使い切った状態。増やすには民間事業者に頼るしかない。その際、支障になるのが「責任の所在」だとみる。

災害発生直後に帰宅困難者を受け入れたものの、ビルの破損などで死傷者が出た場合、今の仕組みでは事業者が責任を問われかねない。

村上氏は「行政が責任を持つと明確に打ち出す必要がある。民間事業者が協力に一歩踏み出しやすくすべきだ」と指摘する。

村上氏の研究室は昨年11月、新宿区内の高層ビルにアンケートを行い、11施設から回答を得た。全てのビルが非常用発電機を設置していたが、帰宅困難者も想定して物資を備蓄していたのは3施設にとどまった。従業員や帰宅困難者らの待機マニュアルは、6施設が作成していなかった。村上氏はほかのエリアでも同様の傾向にあるとみる。

東日本大震災を経験して、帰宅困難者対策が抜本的に変わったとする見方がある一方で、村上氏はむしろ危機感を強める。

「東日本大震災で歩いて帰れてしまった人には成功体験が残っている。これが危険だ。一人一人が想像力を持って考えないと、首都直下地震など大災害が起きれば大変なことになる」

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