九州・山口 新年インタビュー

(5)「鉄道事業の効率化と新分野の開拓を」青柳俊彦・JR九州社長

 ■ポートフォリオ拡大

 さて新しい年だが、コロナ禍の中で先が読めない状態が続く。ウィズコロナの中で、きちんと事業継続を図っていかなくてはならないと思っている。

 これを契機に実現したいことが二つある。一つは鉄道事業を基盤とする事業展開の効率化であり、乗客数の回復がない中でも、持続的な経営ができる体質づくり。一刻も早く実現しないといけない。

 もう一つは、得意分野以外への事業展開で、大きな意味でのポートフォリオの拡大、開拓だ。物流やIT分野が考えられる。ただ、不動産や接客といった経験豊かな部分をうまく活用しなくてはいけない。九州を元気にするために、これまでやってきたことをしっかりやる。それに加えて何ができるかということだ。農業部門は昨年ようやく黒字化して、第1段階をクリアした。

 ■在来線は今後協議

 長崎新幹線の並行在来線問題はまだ、経営分離という基本論しか決まっていない。ただ、鹿児島ルートをみても分かるように、基本通りにいかないことも現実だ。これから国、自治体、JR九州で協議をして、具体的な方向づけがされる。ダイヤの話はまだ早すぎるが、これまでもきちんと責任は果たしてきており、実際の例を見ていただくと分かると思う。

 肥薩線の復旧方法については(熊本・球磨川水系の)ダム建設問題の方向が今年度中に決まるので、その時点になればはっきりする。乗客が少ない傾向はしばらく続くだろうから、赤字路線の問題は、ダイヤ改正を含め、収支改善に向けた根本的な対策が問われている。ただ、運賃の値上げは考えていない。

会員限定記事会員サービス詳細