令和2年は、新型コロナウイルス感染症への対応に明け暮れた1年だった。コロナそのものというよりも、移動の自粛や感染予防対策などによる影響が大きかった。年半ばには7月豪雨に見舞われ、九州は大きな被害を受けた。災害はこれまでもあったが、肥薩線の被害は非常に大きなものになった。
コロナ禍によって、まさに「人流が蒸発した」と言われる状況になり、お客さまがいなくなってしまった。このため従業員と鉄道を守るため、銀行などから約1千億円を借り入れ、400億円の社債を出して資金を確保した。コロナ禍は第2波、第3波と続き、なかなか去ってくれず、いまなお売り上げは従来の5割を超えていない状況。9月に発表した300億円超となる3年3月期決算の赤字予想を、まだ修正する段階には至っていない。
JR九州グループとしては、これまでもポートフォリオ(事業構成)を広げてきたが、今回のコロナ禍を経験してみると、事業のすべてが「人流」に関わるところにあったということに気づき、反省しているところだ。
それでは、旧年中に何をしたのかというと、平成28年の熊本地震で被災した豊肥線の一部区間が復旧し、4年半ぶりに全線再開させることができた。また、豪華寝台列車「ななつ星」7周年や、新観光列車「36ぷらす3」運行開始のキャンペーンなどを繰り広げた。さらにはJR宮崎駅(宮崎市)前に複合商業施設「アミュプラザみやざき」がオープンするなど、計画していたことは実行できたと思う。