北朝鮮、対外軟化の可能性 無条件で直接会談 政府見極め

朝鮮労働党中央委員会第8期第1回総会に参加する金正恩総書記=10日、平壌の朝鮮労働党本部会議室(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
朝鮮労働党中央委員会第8期第1回総会に参加する金正恩総書記=10日、平壌の朝鮮労働党本部会議室(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 約5年ぶりに開かれた北朝鮮の第8回朝鮮労働党大会に対し、日本政府は現在のところ公式な反応を示していない。北朝鮮は新型コロナウイルス禍や経済制裁、自然災害の「三重苦」にあり、経済支援を求めて対外姿勢を軟化させる可能性もあるとみて慎重に対応を見極めている。菅義偉首相は、党総書記に就任した金正恩(キム・ジョンウン)氏と条件を付けず直接会談する意向を重ねて表明しており、日本人拉致問題解決につながる糸口を探りたい考えだ。

 北朝鮮は党大会で米国について「最大の主敵」と位置づけ、核兵器開発の推進も表明した。トランプ米政権を相手にした対話路線から、再び敵対路線への転換を強調してみせた形だ。

 一方で、日本政府が関心を向けているのが、党大会で行われた外交政策に関する報告だ。対外関係を拡大・発展させる方針を表明しており、拉致担当の政府関係者は「具体的な内容はわからないので評価は即断できないが、良い方向だとは思う」との見方を示した。

 日本政府は北朝鮮の経済状況は過去にない水準で困窮していると分析する。北朝鮮は長年の経済制裁やコロナ禍の防疫に伴う中国との国境封鎖、水害などの自然災害という「三重苦」にあり、食糧難にも直面しつつある。経済の立て直しには米国や中国、韓国、日本などとの関係改善は不可欠になる。

 「北朝鮮は相当に困った状態にあり、動きがあると思うがどうか」

 首相は昨年12月26日、北朝鮮による拉致被害者の支援組織「救う会」の西岡力会長と首相公邸で面会した際、こう見解を尋ね、党大会後の対北朝鮮戦略を練り直したようだ。

 政府関係者は「今春ごろには、さらに窮乏していく。今年はチャンスだ」と述べる。拉致被害者の全員帰国の実現に向けて北朝鮮のシグナルを見逃さないよう手がかりを探っている。(千田恒弥)