新聞に喝!

安全保障の現実を直視すべきだ インド太平洋問題研究所理事長・簑原俊洋

こうした現状を踏まえ、日本のメディアは自国の防衛能力の実態をより真剣に問わなくていいのだろうか。つまり、日本の領土を侵略から本当に守り抜けるのかという、根本的な問いかけである。なぜ国家生存の視点から自然災害や疫病と同じように伝統的安全保障についても本質を論じないのか。有事のシナリオは現実性がないから、弾薬やミサイルの保有数が十分かなどを報じる必要はないのか。

コロナとの闘いが収束すれば、そこには別の敵が待ち構えていよう。防衛費は9年連続の増加とはいえ、国家の安全を担保するにはなお不十分だ。この現実に気づくのが沖縄・尖閣諸島を失った後ではあまりにも遅すぎないか。

【プロフィル】簑原俊洋

みのはら・としひろ 昭和46年、米カリフォルニア州出身。カリフォルニア大デイビス校卒。神戸大大学院博士課程修了。博士(政治学)。同大学院法学研究科教授。専門は日米関係、国際政治。

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