1都3県に再び緊急事態宣言。アメリカではトランプ支持者が議会に乱入し、死者4人。令和3年、波乱の幕開けだ。
緊急事態宣言に関しては『週刊文春』(1月14日号)と『週刊新潮』(1月14日迎春増大号)が真っ向対立。
『文春』は「西浦教授 独白120分『2月に感染爆発が来る』『東京は無策だった』」。『新潮』が「『緊急事態宣言』再びで地獄絵図」。
『文春』で8割おじさん、西浦博京都大学大学院医学研究科教授が問題にしているのは感染者1人が平均何人に感染させるかを示す「実効再生産数」。
このままいけば〈「二月末には一日の感染者数が約三千五百人、三月末には約七千二百人(中略)いずれ爆発的に感染が拡大する」〉。
しかも緊急事態宣言の発出が遅れたから〈「少なくとも二月一杯まで宣言を維持しないと目標達成が困難」〉。
『新潮』はコロナに関しては一貫して医療体制の不備を訴えてきた。
4知事、菅義偉総理に共通する弱点は、〈俯瞰(ふかん)する力、すなわち、全体を見渡したうえで判断する力の欠如〉と手厳しい。
医師でもある東京大学大学院法学政治学研究科の米村滋人教授。
現行の医療法では都道府県知事が民間病院にコロナ患者の受け入れを指示できず、〈「国内の医療機関の2割にとどまる公的病院と一部の民間病院だけに負担がのしかかっています」〉とした上でこう提案。
〈「医療機関のキャパシティを広げるために、全国規模で人員を集め、対応しきれていない医療機関に差配するなどの対策をすべきでした。1都3県の知事も、医療が逼迫(ひっぱく)しているからと、宣言の発出を要請しましたが、危機感のピントがずれています」〉
『文春』がスクープした歌舞伎俳優、中村芝翫の不倫。インタビューに答えた夫人、三田寛子の態度が、実に立派、見上げたものだ。一読を。
『週刊ポスト』(1・15/22)のオピニオン特集「2021年のニッポンを分断する真っ二つの大論争」。新年らしい良い企画だが、1本1本が短すぎる。
(月刊『Hanada』編集長)