【ちいさなしあわせ】コロナ禍の暮らし ほのかに照らす「新しい幸せ様式」(1/2ページ) - 産経ニュース

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ちいさなしあわせ

コロナ禍の暮らし ほのかに照らす「新しい幸せ様式」

【ちいさなしあわせ】コロナ禍の暮らし ほのかに照らす「新しい幸せ様式」
【ちいさなしあわせ】コロナ禍の暮らし ほのかに照らす「新しい幸せ様式」
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 地位やお金、持ち家や高級車-。そんな象徴的な「幸せ」とは別の、「ちいさなしあわせ」に関心が高まっている。新型コロナウイルス感染症の広がりが暮らしに影を落とす今、最新の調査や識者の話から垣間見えたのは「ちいさなしあわせ」が、閉塞感を和らげて、日々をほのかに照らす可能性だった。(津川綾子)

 昨年12月、PwCコンサルティング(東京)が「全国消費者実態・幸福度調査2020」を発表した。

 人々が持つ価値観と幸福度について、その相関関係を分析した。コロナ禍の令和2年9月、全国の15~79歳の約5000人に、信じているもの、自信のよりどころやコンプレックス、購買するものなど価値観や嗜好性を聞く一方で、人生や日常に対する満足度なども聞き、どのような「価値観」を持つ人が幸せを実感しやすいのか傾向を見た。

 すると、幸福度に関連するキーワードの一つに、「慎ましい幸福」が浮かび上がった。

 大きな野心を達成するより慎ましいことに「幸せ」を感じる人のほうが幸福度が高い-。そんな傾向が浮き彫りになった背景について、調査をした同社の高木健一ディレクターは、「野心的な大きなことはすぐに達成できるものではない。しかし、日々のちょっとしたことは行動にさえ移せば、すぐに達成できるからではないか」と話す。調査では、コロナ禍で勤務環境が出社から在宅に変わっても、自分に快適な設えを整えたという人のほうが幸福度が高いという傾向も出たという。

■身近で持続可能

 「遠くの山を見るのは時々にして目の前の小さなことを一歩ずつかなえていくのが先の見えない今の時代の賢い幸せだ」

 そう話すのは、慶応大学大学院の前野隆司教授。幸せに関する研究成果を体系化した「幸福学」の日本での第一人者だ。PwCの調査にも協力した。

 「経済拡大・成長の時期が終わり、今、社会は定常・成熟期へと転換点を迎えている」と前野教授。「もの」の豊かさより「心」の豊かさを求めるのが、今の幸せの潮流だという。

 経済拡大・成長の時代は、昇給や出世、高級車の購入などの地位財を得るといった社会のレールをステップアップすることが幸せの典型だった。

 では年功序列の出世や昇給の仕組みが綻びつつある今、幸せは得難くなったのか。それは違うようだ。「幸福学の知見が積み上がり、人類史上で一番幸せになれる時代が来た」と前野教授は言う。

 研究の結果、明らかになったのは、地位財と対極にある非地位財に目を向ける大切さだ。