【ワシントン=黒瀬悦成】チャオ米運輸長官は7日、トランプ米大統領の支持者による6日の連邦議会議事堂の占拠事件について「深く憂慮しており、見過ごすことはできない」と批判し、11日付で辞任すると発表した。占拠事件を受けてトランプ政権の閣僚が辞任を表明するのは初めて。トランプ氏を支えてきたホワイトハウス高官も次々と辞任しており、同氏は約2週間後の退任を前に求心力を一気に失いつつある。
台湾系のチャオ氏は上院共和党トップのマコネル院内総務の夫人でもあり、トランプ氏に近いことで知られてきた。
ホワイトハウスでは、既に辞任したポッティンジャー大統領副補佐官やグリシャム大統領夫人首席補佐官らに加え、7日には国家安全保障会議(NSC)のタリー上級部長、マルバニー英領北アイルランド担当特使(元大統領首席補佐官代行)らが辞任した。さらに多くの高官が辞任すると見込まれている。
一方、民主党のペロシ下院議長は7日、ペンス副大統領に対し、米憲法修正25条を適用してトランプ氏を解任するよう要求した。
修正25条の規定では、副大統領と閣僚の過半数が「大統領は職務遂行不能な状態にある」と判断した場合、大統領を解任して副大統領を大統領代行にすることができる。
ペロシ氏は、ペンス氏が行動しない場合、議会はトランプ氏の弾劾訴追手続きに着手する用意があると強調した。